2001.8.2 thu.

曇り。湿度は高いけれど、東の方から冷たい風が吹いている。気温もここ数日に比べると低めで過ごしやすい。早起きをして大蟻食と一緒に渋谷へ。渋東シネタワーで 「千と千尋の神隠し」 を見る。朝8時からの1回目で5割程度の入りというところか。やっぱり親子連れが多い。大蟻食はあの不気味な「顔なし」の「宴会」にたいそう感動していた模様である。


2001.8.3 fri.

夜、大蟻食と一緒にビデオで 「悪いことしましょ」 を見る。


2001.8.4 sat.

曇り。気温は低いけれど、蒸している。日中はとめどなく「ファイナル・ファンタジーX」。スフィア盤といかいう成長システムはそれなりに達成感があって面白いと思う。でも、ロンゾ族キマリの育成に失敗したような気がしてならない。というわけで前進をいったん中断して、むきになってバトルを繰り返す。夜になってから大蟻食と一緒にビデオで 「プルーフ・オブ・ライフ」 を見て、それから一人で 「ザ・セル」 を見て寝てしまう。


2001.8.5 sun.

曇り。少し涼しい。相変わらず「ファイナル・ファンタジーX」を続けている。さっさと終わらせるべきだという気もするのだが、中盤以降の(おそらくは理不尽なほどの)ボス戦で苦労したくないので、物理攻撃能力を高めるためにひたすらにバトルを繰り返している。やはりキマリの仕上がりが今ひとつだが、その間に女たちは全員が盗みを覚えた。ルールーに盗ませると、盗んでいるというよりはほとんど毟っているという風に見える(なにしろガンつけて帰ってくるからね)。それでアーロンが「じゃあな」と言って敵を全滅させたりすると、これはもう山賊の集団以外の何物でもないのである。


2001.8.6 mon.

曇り。空の気配が怪しかったが、結局、降ってはこなかった。夜、大蟻食と待ち合わせをしてようやく 「猿の惑星」 を見る。場所はビック・カメラの上の方にある渋谷エルミタージュで、5割程度の入りといったところか。


2001.8.7 tue.

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石」(静山社)を読み終える。現実の世界に魔法の世界がオーバーラップしている、という状況はなかなかに魅力的だし、魔法の小道具が物質的な意味で文字どおり氾濫している、というのはいかにも現代的である。そうした背景はそれなりに面白いと思うのだが、こども向けの読み物として考えた場合、人間関係の負の側面、つまり憎悪や復讐が前景に出過ぎてはいないだろうか。いささか品が悪いような気がしたのである。


2001.8.10 fri.

夜、ビデオで 「ロック・ネス」 とかいうネス湖ものを見る。なんじゃこりゃ。


2001.8.11 sat.

相変わらずの曇り。「ファイナル・ファンタジーX」をまだ続けている。エボン・ドームの中をうろうろしている状態で、気がついたらキャラクター全員のHPが9999、しかも全員がクリティカル・ヒットで9999の物理攻撃をするようになっていた。アルテマもアレイズも持っているので、そろそろ前へ進もうと思う。昼過ぎに雷鳴を聞き、午後には雨。夕方になってやんだ頃に大蟻食が帰ってきた。火曜日から新潟へいっていたのである。晩ご飯を妻家房で食べて、並んで 「アンブレイカブル」 を見る。見終わった後、あまりのことにしばらく声も出なかった。


2001.8.12 sun.

まだ曇り。この8月は日照が乏しい。日中は「ファイナル・ファンタジーX」。ようやくエボン・ドームのボス戦に進み、飛空艇による移動が可能になる。というわけでしばらくは隠しアイテムだの隠しイベントだのを探してうろつくことになるだろう。昼食をベトナム料理屋で食べて、それから美容院で髪をカットしてもらう。大蟻食も一緒に入ってフェイシャル・マッサージをしてもらう。夜は大蟻食が新潟から日本海名産干しタラを持ち帰ったので、ポルトガル風タラ炒飯とガスパチョ。食べながら 「オーガズモ」 を見る。恐ろしいことに、前夜の 「アンブレイカブル」 と同じ話なのであった。


2001.8.16 thu.

晴れたり曇ったり。「ファイナル・ファンタジーX」終了。寝る前にちょっとだけやるつもりで最後のフィールドをなんとなく進んでいったら、なりゆきでボス戦が始まってしまったのでそのまま終わらせることにしたのである。最終的な印象としては、悪くなかったということになるのではないだろうか。とにかく金はかかっているし、グラフィックは無条件で美しい。話もかなり頑張って話を作ってあったと思うし、キャラクターもそれなりによかったと思う(大蟻食は美少年だという理由でティーダを気に入っていたようだ。わたし自身は設定がポジティブで戦闘を速やかに終わらせるリュックがいちばん気に入っていた。手間がなくてよろしい)。そしてスフィア盤という成長システムはユーザーが多様な選択肢を与えられるという点で評価できるだろう(ただ、わたしとしてはよりプログラム性の高かったVIIのマテリアの方が好き)。とはいえ、話の筋の方で「俺の物語」とか「おまえの物語」とかにやたらと拘泥するあたりは少々恥ずかしかった。対象ユーザーが10代前半だと考えると、そんなものなのかもしれないが、いちいちそんな宣言をしなくても「物語」を前進させることはできる筈である。それと、やりこみの部分がどうしてもミニゲーム化するというあの習性は、なんとかならないものだろうか。実を言うとあそこがいちばん辛いのである。


2001.8.17 fri.

ハーバート・アズベリー「ギャング・オブ・ニューヨーク」(早川文庫)を読み終える。19世紀のニューヨークに生息していたギャングの生態についてのドキュメンタリーである。1920年の著作で、モダンなノンフィクションというよりも聞き書きを集めた伝説集を思わせる。ギャング団を中心にほぼ百年にわたるエピソードが積み上げられていて、たとえば徴兵暴動のようにあったことは知っていても具体的な過程を知らなかった事件の経緯が詳細に記されているのは興味深かった。加えて驚いたのは19世紀の中葉になってもガルガンチュワを思わせるような巨人伝説が出現していることで、このあたりは巽孝之氏の「アメリカン・ソドム」をあわせると、なるほど事実の急速な神話化がおこなわれていると納得させられる。


2001.8.18 sat.

曇り時々雨。午後から海浜幕張へ。ニューオータニにチェックインを済ませてからSF大会の会場へ入る。まず野阿梓氏からおまえ顔色が悪いと言われ、次にヨーロッパから戻ったばかりの北野勇作夫妻と挨拶を交わす。大蟻食はジェンダーSFのパネルに出席し、そこで男性蔑視の限りを尽くす。小谷真理氏らも同調する様子であったので、白一点の森岡浩之氏が見ていて実に気の毒であった。終わってから会場に大串尚代氏がいることに気がついた。美貌の英文学者であるが、なぜかメイドの服を着ていた。SF広場の喫茶店でウェイトレスをしてきたらしい。そのSF広場では井上徹氏からテルミンについての説明を聞く。映像では見たことがあったが、間近で見て音を聞くとなかなかに異様な楽器である。大蟻食が早速欲しがった。ホテルに戻って軽く夕食を済ませ、パーティに行こうとしたところで野阿梓氏とその一行に遭遇する。結局パーティーにはほとんど顔を出さずに(会費は払ったのに)ホテルのレストランに潜り込んでやおいな話に耳を傾けることになる。外では街路樹が風に吹かれて枝を激しく揺すっていた。夜遅くなってから小松左京氏の部屋へ潜入し、得体の知れない時間を過ごす。


2001.8.19 sun.

晴れ間が見えたので、ホテルのプールで午前を過ごす。昼食を済ませてから再びSF大会の会場へ。ようやく高野史緒氏との遭遇を果たした時にはもうエンディングの時間になっていた。慣れないことをしたせいだろうか、帰宅すると途端に猛烈な疲れを感じて横たわった。


2001.8.20 mon. - 2001.8.24 fri.

夏休み、ということで家にいる。SF大会のせいなのか、それとも夏ばてのせいなのか、とにかくくたびれていてほとんどの時間を眠って過ごす。
この間に読み上げた本はディビッド・ロッジの「考える・・・」(白水社)のみ。例によって一種の学会物だが、巧みに織り込まれた文学パロディが実に楽しい。妄執のように繰り返してはいつも失敗していたカットバック技法の適用も、ここ数作では現在形による叙述ということで安定していて、特に今回は手法(意識の流れと日記体)と視点(男と女)の大胆な転換の狭間に置かれてうまい具合に機能している。
23日に大蟻食がCAPCOMの新作ゲーム「DEVIL MAY CRY」を購入する。なんだかたいそう気に入ったようで、朝から晩まで目を尖らせて魔物退治に耽っていた。


2001.8.25 sat.

大蟻食は「DEVIL MAY CRY」を続けている。その合間に韓国映画 「ユリョン」 を見る。ちゃんと軍事行動してほしかったぞ。


2001.8.26 sun.

大蟻食は「DEVIL MAY CRY」を続けている。話によると最終ボス戦に到達したようだ。つまり最終ボス戦がなんだか理不尽なので、そこで止まってしまったのである。大蟻食もわたしもボス戦が嫌いだ。夜、NHK教育でギドン・クレメルの演奏ぶりを大蟻食の解説付きで見物していると、続いて 「屋根の上のバイオリン弾き」 が始まった。で、なんとなく最後まで見てしまう。10代の頃に見た時には素直に感動したものだが、改めて見ると歴史的な暗さがやけに際立つ。


2001.8.31 fri.

なんとなくテレビをつけたらキャメロン版の 「タイタニック」 をやっていたのでちょっと見る。吹き替えがいささか鈍重であったが、映画自体がそもそも鈍重なので、結果としてはあっているということなるのかもしれない。 「S.O.S タイタニック」 を見て口直し。


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