2001.2.1 thu.
夜、大蟻食と渋谷で待ち合わせをして
「ギャラクシー・クエスト」
を見る。大蟻食もわたしもたいそう満足したのであった。ただ、余計なことを言えばちょっと大作すぎ。こういう映画って、本来はもう少し低予算なのではあるまいか? 居直ったところで作っていないので、立派な映画になってしまっている。 2001.2.2 fri.
夕食を食べてから、ほとんど20年ぶりで
「地獄に堕ちた勇者ども」
を見る。こんな映画だっけ? 2001.2.3 sat.
なんとなく朦朧としているうちに一日終わり。
「ギャラクシー・クエスト」
の余波であろうか、夜になってから
「スタートレック」
を見始める。やっぱり雑な映画なのであった。 2001.2.4 sun.
なんとか午前中に起き出して、リンゴとコーヒーだけで朝食。そのうちに昼になってお腹が空いてきたので駅前の妻家房で昼食。ユッケジャンを注文し、ご飯を胡麻の葉キムチで包んで食べる。食事の後、本屋で「ナショナル・ジオグラフィック」の2月号と「サウスパーク・コンプリート・ガイドブック」(洋泉社)を買い求める。お茶の後、タートルネックの春物のシャツを購入し、そのままなんとなく自由が丘をうろついて改装された「わたしの部屋」を見物したり、沢村凛さんから聞いていたスペイン語書籍の専門店の場所を確認したりして、それから久々に「わちふぃーるど」にも寄って池田あきこ「猫の島のなまけものの木」(ほるぷ出版)とダヤンの招き猫を買い求める。これでダヤンのコレクション・ブックは手持ち8冊になった。最後にモンブランでもう一度お茶(最近はこのパターンが多い)。大蟻食はアップルパイを、わたしは苺のムースを食べる。買い物は土曜日に済ませてあったので、駅前の果物屋でリンゴだけを買い求め、帰宅する。「リサーチ200X」を見ながらスペイン風のオムレツを食べ、引き続きNHKスペシャルで「激動の地中海」を見る。こちらは2回目が始まるものと思っていたが、なぜか4回目で話は北アフリカへ飛んでいた。途中の2回はいつの間に終わってしまったのか。お茶をいれて、金曜日の続きでヴィスコンティの映画を見る。今夜は
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」。これは初めて。
例によって男が不幸な目にあう話なので大蟻食はたいそう喜んでいた。 2001.2.7 wed.
諸般の事情でヴィスコンティの
「若者のすべて」
を鑑賞する。これも初めて。3時間はちょっと長いぞ。
2001.2.10 sat.
大蟻食が青山ブックセンターで何かをする、ということで日中、
「山猫」、
「ベニスに死す」、
「家族の肖像」
を大慌てで鑑賞する。どれを見るのも久々である。「山猫」は劇場でリバイバルされた時に一度、その後、ビデオが出てから一度見ていて、ビデオが英語版だったのでたいそう落胆した記憶がある。今回のビデオも英語版。イタリア語版はどこへいってしまったのだろうか? 「ベニスに死す」は学生の頃、名画座で何度か見て、それ以来だから20年ぶりくらいになるのであろう。「家族の肖像」は岩波ホールでなぜか2回見ていて、それ以来だから23年ぶりくらいになるのだろうか。これも英語版なのであった(もしや、と思うのだが、岩波ホールで見たのも英語版だったのではあるまいか?)。 2001.2.11 sun.
朝、起きると大蟻食は前日の疲れで死んでいた。適当に朝食を済ませて、昼は妻家房でユッケジャンを食べる。夜はおでん。それからハリーハウゼン特集の続きで、
「地球へ2千万マイル」
を鑑賞する。
2001.2.12 mon.
終日、ごろごろとして暮らす。ごろごろとしているうちに、G.トマス/M.モーガン=ウィッツ「ウォール街の崩壊」(講談社学術文庫)を読み終える。1929年の大暴落を社会史的な視点で描いたノンフィクションである。話をウォール街で終わらせずに郵便配達夫やウィスキー密造一家、金持ちの家のフラッパーな娘などを織り交ぜ、重層的に仕上げていて実にポリフォニックな作品になっている。投機家の生態も細かく描かれているし、投機熱に煽られて自滅していく小市民の姿も実によく描かれている。特にデトロイト郊外の町で集団横領をしていた銀行員たちの話はすさまじいサスペンスである。読んでいてこれほど心が苦しくなったのは、もしかしたら西原理恵子の「まーじゃんほうろうき」(竹書房)以来なのではあるまいか。ちなみにこの本は大暴落50周年記念で1979年に出版されたとのことで、訳は常磐新平である。きちんとした日本語になっていて、読みやすかった。講談社学術文庫は点数が多いので重宝することも多いのだが、訳にはたまに問題がある。ウェデマイヤーの「第二次世界大戦に勝者なし」などはあまりにひどい日本語なので、まずそれを英語に逐語訳して、それからまた日本語に直さないと意味が通じない、ということがあった。それでも一応は日本語で読めるのだからありがたいと思わなければいけないのだとは思うけれど、ちょっとね。
2001.2.16 fri.
夜、大蟻食が出かけてしまったので、美容院へ。前回はひどく短めになってしまったので、少しだけ短めということでカットをしてもらう。帰り際にカラーの割引券をもらったが、そうなると来月は色をいれるということになるのだろうか。一人で食事を済ませてから帰宅して、十何年ぶりという感じで
「怪獣ゴルゴ」
を見て、寝てしまう。予定ではハリーハウゼンだったのだが。
2001.2.17 sat.
もとから出不精で週末は家でごろごろしているのが多いのだが、ここのところの不活発ぶりは我ながらかなりひどいと思う。起き出してくるのは昼過ぎだし、日中はほとんど朦朧としているし、夜は夜で何もしないで寝てしまう。死んでいるのも同然の状態である。遅く起きて朝昼兼用の食事をして、陽が落ちるか落ちないかというような時刻に昼夜兼用の食事をする。そして陽が暮れると寝る体勢に入り、その状態で
「ドグマ」
を見る。
2001.2.18 sun.
相変わらず起きられない。起きられないが、これではいけないと考えて、大蟻食と一緒に少しだけ散歩をする。散歩の途中で酒屋に寄って、ラム酒を一本購入する。夕刻、家に戻ってから、一人で
「恐怖の雪男」
を見る。その後はいつものように「リサーチ200X」を見ながら食事を済ませ、さらに
「怪獣ウラン」
を見る。ハリーハウゼンのつもりだったのが、なぜかハマー特集になってしまった。
2001.2.19 mon.
朝起きると熱が出ていた。もしかしたら土曜か日曜からすでに発熱していたのかもしれない。たまにこういうことがある。おおむね元気なのだが、熱のせいで10分立っているのが難しい。仕事は休むことにして、終日、横たわって過ごす。こういう状態でテレビを見たり、ゲームをしたりすると大蟻食に叱られるので、本を読むことにする。まず、村上春樹「Sydney!」(文芸春秋)を読む。シドニー五輪のルポルタージュである。スポーツの描写にはまったく感心した。オリンピックについての見解も、まったく同意見である。ただ、生存状態の暗がりを求めて這い進むような部分は、好きになれない。続いてデイヴ・コートニー「悪党」(徳間書店)を読み上げる。ロンドンで「取り立て業」や「セキュリティ・サービス」を営んでいた「悪党」の回想録である。いささか脈絡に乏しい内容が話し言葉でどこまでもどこまでも記されていて、翻訳者の方は相当に苦労したのではあるまいか(解説には苦労したと書いてあった)。シリトーよりも大変そう、というくらいしかわからないが、仕上がりは見事なものである。で、内容もかなりすごい。まず明るい。元気がいい。実に前向きな悪党で、しかも驚くほど誠実である。もちろんこちらは絵に描いたような小市民なので、開陳されている価値観すべてを受け入れることはできないが、自分の人生に対するあの誠実さはちょっとあやかりたいくらいだ。そして何よりも感心したのが、何をするにしてもいかに「決めるか」を常に気にかけていることだ。どのような場面でどのような決め台詞を口にすれば、あるいはどのような行為をすれば、それがどのように声望に加わり、名となって後に残るかを気にしている。だからかっこ悪い振る舞いや、評判を落とすような振る舞いは自ずとできない仕掛けになっているのである。どうやら婆ちゃんの影響が強いようだが、実行できるのは見上げたものだ。そして「決める」ことに成功すればそれを自分の回想録に書き残し、さらに他の犯罪者の回想録にもその有様が収録されていると指摘することを忘れない。昨日したことを忘れるような生活では、これはとうてい真似できない。我が国の犯罪者も少しは真似をして、かっこをつけてみたらどうかとも思ったが、よくよく考えてみると英国以外の土壌ではあのような指向性はあまり見かけない。英文学が英国の風土病であるのと同様に、英国の犯罪者も英国の風土病として捉える必要がありそうだ。
2001.2.23 fri.
ビデオで
「ザ・シークレット・エージェント」
を見る。
2001.2.24 sat.
いきなり寒くなった。しかも雨である。大蟻食は新潟に返品してあるので、この週末はわたし一人だ。寒くて、雨が降っていて、だから家にいたいところだったが、食べる物が何もなかったので、Macoe's Bagle Cafeへ出かけて朝食をとる。気のせいだろうか、ベーグルがちょっと小さくなったような気がした。朝食の後、東急ストアへ。まだ昼前だというのに店内はたいそう混み合っていた。タイムセールの真っ最中に飛び込んでしまったのだ。店員は「恒例の」とか喚いていたが、こちらは見るのも聞くのも初めてである。買い物を済ませて帰宅。お茶をいれて
「英雄の条件」
を見る。昨年、劇場で予告編を見た時にかなりいやな予感がしたのだが、おおむね予感どおりの映画であった。見終わった後、寝台にもぐりこんで「影が行く」(創元SF文庫)を読み、ちょっと昼寝をして、起き上がると夜になっていたので軽い夕食を食べ、それから少し机に向かう。10時ごろ、大蟻食から電話。わたしは朝日新聞と読売新聞の連載小説、つまり高橋源一郎氏の「官能小説家 明治文学偽史」と奥泉光氏の「坊ちゃん忍者幕末見聞録」を朗読する。なぜだか知らないが、21世紀になってから朗読がわたしの仕事になっているのである。大蟻食を返品してしまえばこの義務から解放されるのではないかと期待したが、そんなことはない、ちゃんと電話がかかってくる。電話の後、またお茶をいれ、それからトビー・フーパーの
「レプティリア」
を見る。期待してたんだけど。
2001.2.25 sun.
ゆっくり起きて、新聞を読みながらデニッシュで朝食をとり、一息入れてから水まわりの掃除。石鹸の買い置きがなくなっていた。そこで電車に乗って渋谷へ。宮益坂をのぼり、246を進んで表参道へ出る。246沿いのロクシタンで石鹸を購入し、原宿方向へ戻りながらキディランドをひやかす。明治通りに出てから竹下口へ進み、途中でブックオフを見つけたので入ってみる。初めてである。一階はマンガとCD、二階は一般書籍で、一通りまわってみて、とにかくその量には圧倒された。古本屋でもなく新刊を扱う書店でもなく、限りなくリサイクルショップに近いのだと思う。量は多いが、傾向がない。竹下口のこの店に限って言えば、岩波文庫はほとんど見かけることができなかったし、歴史の棚も貧弱だし、西洋史関係に至ってはないに等しい。SFの棚も並んでいるのはみな新しかった。面白い場所だとは思ったが、残念ながらあまり用はなさそうである。ほかのブックオフはどうなのだろうか? |