イノセンス
- Aloysius' Rating: 5/10
2004年 日本 100分
監督・脚本:押井守
出演:大塚明夫、山寺宏一 、田中敦子、竹中直人、仲野裕、大木民夫
近未来の日本を舞台に攻殻機動隊のメンバーがロボット暴走事件の謎を追う。
士郎正宗のマンガ『攻殻機動隊』の二度目の映画化で、プロットはおもに第六話「Robot Rondo」に取材して、第七話「Phantom Fund」で味付けをしている。なお、隊長の草薙素子は映画版
『攻殻機動隊』(1995)
ですでにあっちの世界にいってしまっているので、主役はバトーなのである。
まず冒頭、俯瞰される都市の光景とインターフェースに氾濫する漢字とハングルに目を奪われる。精密に描かれた背景の前をいわゆるアニメーションのキャラクターが動き回るのには最初は違和感を覚えたが、このアナログ性はキャラクターの身体を無機物と対照するためであろう。雑貨屋の店内における暴力場面では、実写では不可能なカメラワークが使われている(いや、もちろんセットを使えば話は別だが)。そして北端の都市へと降下していくティルトローター機の異様な翼は、それだけでもこの映画を見る価値のあるものしていると言えよう(ついでにソプターしてくれたら、もっとすごかったかもしれない)。手間のかかった映像はいずれも見ごたえがある。
ただ、これもまた原作から遠く離れて押井守の世界になっていて、その限りにおいてはまったく批判の余地を与えていない。だから北端の都市エトロフは壮麗なチャイニーズ・ゴシックの外観をまとって静謐の底に沈んでおり、闇市も存在しなければ、『ドミニオン』から出張してきたねえちゃん二人が盗品の叩き売りをしているという光景を見ることもない(いや、そもそも押井版『攻殻機動隊』にはフチコマが登場しないのである)。わたしとしてはこの静寂に包まれた単色の世界よりも原作の猥雑で雑多な世界のほうが、どちらかと言えば好きかもしれない。
<攻殻機動隊>
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Ghost In The Shell
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Innocence
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