戦艦バウンティ
- Aloysius' Rating: 5/10
1962年 アメリカ 195分
監督:ルイス・マイルストーン、キャロル・リード
出演:マーロン・ブランド、トレバー・ハワード、リチャード・ハリス、ヒュー・グリフィス
18世紀末。英国海軍軍艦バウンティ号はタヒチ島に産するパンの木を西インド諸島へ移植するという実験的な任務を帯びて南太平洋へ赴くが、タヒチから出港した後、航海士フレッチャー・クリスチャンを中心とする反乱が起こり、艦長ウィリアム・ブライはボートで洋上に追放され、バウンティ号を奪ったクリスチャンはタヒチを目指す。ブライ艦長は定員超過のボートによる大胆不敵な冒険航海を経て生還を果たし、報告を受けた英国海軍は反乱討伐のためにフリゲート艦パンドラ号を派遣する。だがバウンティ号及びクリスチャン航海士を捕捉することはできなかった。バウンティ号の反乱者たちは絶海の孤島ピトケアンに逃れたとされている。
以上は映画のストーリーではなくて、おおむねのところの史実である。ちなみにバウンティ号は「戦艦」ではなくて砲4門を搭載した等級外の小型艦で、ウィリアム・ブライは正規艦長(Post Captain)ではなくて艦長名簿に載っていない海尉艦長(Commanding Lieutenant)であり、偏屈な老人ではなくて半額休職給から抜け出してきたばかりの33歳の青年である。
で、ロンドンに焦がれる反乱の首謀者フレッチャー・クリスチャンがマーロン・ブランド、偏屈な老人のブライ艦長がトレバー・ハワード。この映画のクリスチャンは航海士と言いながら下士官ではなくて先任士官ということになっていて、だから海尉艦長のブライとは任官順位の違いがあるだけで階級的には同格ということになる。その上、貴族のご婦人を連れて馬車を仕立てて乗り込んでくる伊達者という設定で、つまりブライよりも金持ちでブライよりも縁故に恵まれていて、だから不器用で無骨者然としたブライに対して最初から舐めた口をきいているのである。はっきり言って部下に迎えたいタイプではない。そういうクリスチャンなのでまるで最初から反乱を企んでいるように見えても、実はただ艦長を軽んじていただけという説明が可能になる。逆に前半をそうとでも説明しておかないと映画が後半に入ってからの行動が説明できない。つまり水夫のひとり(リチャード・ハリス)が反乱の指揮を取らせようとしてクリスチャンを煽り始めると、クリスチャンの方ではなぜかいきなり悩み深くなって、遂に反乱に突入するまで悶々と苦悩するのである。そういう慎重さを備えた人間には見えなかったので、こちらは性格の激変に驚くことになる。しかし、最初から反乱を企んでいたのはクリスチャンではなくて実はリチャード・ハリスの水夫だったということになると、前半でのクリスチャン航海士の役割はまったくなくなってしまって、結局マーロン・ブランドはイギリスでもタヒチでもご婦人方に流し目をくれていただけ、ということになってしまうのかもしれない。イースター島の石像みたいに頬の長い男がちらちらちらちらとうるさく流し目をするので、いちど気になるとものすごく気になるのである。それにしてもこの3時間15分は長い。
なお、同一の歴史的素材を扱った作品に;
「戦艦バウンティ号の反乱」
、
「バウンティ/愛と反乱の航海」
がある。
IMDb で
を検索します。
* Search provided by
The Internet Movie Database
.