ハリー・ポッターと賢者の石
- Aloysius' Rating: 6/10
2001年 アメリカ 152分
監督:クリス・コロンバス
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、リチャード・ハリス、アラン・リックマン、ジョン・ハート、マギー・スミス、ジョン・クリーズ
J.K.ローリングの原作のほぼ忠実な映画化。子供たちは皆かわいいし、フクロウもかわいいし、役者も悪くないし、美術にも見るべきところがあったと思うのだが、話の方はどうにも好きになれないのである(日記の2001/8/7参照のこと)。原作に忠実で、ストーリーが圧縮されている分、原作の欠陥をよく示している。状況の作り方が一方的で、結論の下し方があまりにも断定的で、子供たちは根拠の乏しい行動を取って強引に話を進めていくし、その過程で登場する大人たちは、大蟻食の意見を借りればまるで大人に見えなかった。ここに描かれている世界は人間の精神に照らしてあまりにも不健全で、しかも不自然に思える。一つだけ例をあげれば、校長が特定の寮の特定の子供にあそこまで肩入れをして、それで学年末の評定の席で露骨な逆転劇を子供たちの前でしてみせるとすれば、教育機関としてのホグワーツは三流であると言わざるを得ない。それでスリザリンから悪い魔法使いが出るのだとすれば、当然というものであろう。そうした不健全な環境を背景に殺人や復讐が一方的な調子で語られるのだから、見ていてよい気持ちはしなかった。子供向けだから残酷であってはならないと言っているのではない。どんなに残酷であっても構わないけれど、人間の精神の奥深さと世界の複雑さに対してもう少し洞察があるべきだと言っているのである。クリス・コロンバスの演出は馬鹿正直なだけでリズム感に乏しい。クディッチの場面は概して評判が悪いようだが、原因はプレイヤーの動作の単純さと、色彩設計のまずさにあるような気がした。もう少しスピード感を殺してもよかったのではないだろうか。特撮系ではヘンソン工房の動物たちは例によって見事だが、モデルの造りは全体に悪い。音響効果はけたたましくて、とりわけチェスの場面は耳の健康によくなかった。
<Harry Potter>
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