2001.9.1 sat.

曇り時々晴れ。寝てばかりいる。夜、大蟻食と一緒に 「ハート・オブ・ウーマン」 を見る。なぜだかわからないけど、見ているうちにちょっと怖い思いをした。


2001.9.2 sun.

曇り時々晴れ。相変わらず寝ている。この眠たさはなんであろうか。夕方、大蟻食と一緒にわたしの実家へ。ゴンゾはたいそう元気であったが、父が外出しているのでちょっと機嫌が悪い。員数があわなくて苛々しているのだ。そういう場合、ゴンゾはわたしに苛々の原因を求める傾向がある。なんだかやたらと抗議された。帰宅してからマルク・ボナール&ミッシェル・シューマン「ペニスの文化史」(作品社)をぱらぱらとめくる。精神分析医と泌尿器科の医師が共同で書いたペニスの本である。興味深い内容ではあるが、めくっているうちにちょっと怖い思いをした。


2001.9.8 sat.

曇り後雨。大蟻食を返品してから一人でビデオ屋へ行き、家へ戻る。まず 「ファイナル・デスティネーション」 を見る。ちょっと拾い物。次に 「スーパーノヴァ」 を見る。これは見なくてもよかったと思う。


2001.9.9 sun.

おおむね雨。昼食に出て雨に降り込められてしまったが、後はほとんど家にいる。実は数日前に古本屋でアンドレ・ノートンの「太陽の女王号」シリーズ一巻目を見つけていて、それを時々ぱらぱらとめくっている。最初の対面から四半世紀以上が経っていることになるが、やっぱりこの自由業者の貨物船という設定は抜群にいいと思う。そのうちに真似してやろうかな。


2001.9.14 fri.

大蟻食が新潟から戻ってくる。夜、一緒に 「ミュージック・オブ・ハート」 を見る。


2001.9.15 sat.

蒸し暑い。昼頃にわたしの両親がやってくる。大量のパンをもらう。鋳物の立派な鍋ももらった。大蟻食は夕方から池袋へ。フォルカー・シュレンドルフの「魔王」をネタに、皆川博子さんとのトークショーに出演するためである。
わたしは家に残って西木正明「オホーツク諜報船」(角川文庫)を読む。たまたま古本屋で見つけた本で、刊行は昭和60年となっている。いわゆるレポ船についてのルポルタージュかと思ったら、レポ船を題材にしたノンフィクション・ノベルなのであった。たぶんに書き手の世代的な特徴もあるとは思うのだが、我が国のノンフィクションの多くはノンフィクションを称する段階ですでにノベルとしての性格を持つ。用意された結論へ誘導しながら、対象への感情移入を隠さないという傾向があるからである。その上にノベルがくっついてしまうと、もう中身は何がなんだかわからないし、実在のリソースに対する敬意がまったく払われないという状況が出現することになる。北方漁民の生活を淡々と積み上げただけでも素晴らしいルポルタージュになったと思うのだが(実際、その辺りの描写は迫力があるし面白い)、文学をしなければならないという得体の知れない思い込みがすべてをぶち壊しにしているのである。
続いて内村剛介「生き急ぐ」(講談社文芸文庫)を読む。敗戦の時に捕虜となってシベリアに送られ、その後、特別審査に引っ張り出されて「政治犯」として11年間ラーゲリにぶち込まれたひとの回想録である。審問の席で交わされた会話が実に詳細に記録されているのは驚くばかりだ。確実な歴史認識を備えいてて、思い出ではなく記憶を頼りとするひとなのだと思う。文学への希求が強い。時間の流れがポエジーの中に埋もれている。わたしは言うべき言葉を何も持たない。
ところで11日の事件について。わたしはこれについても言うべき言葉が何もない。愚劣に対して愚劣で応酬することが正しいとは思えないのだが、政治的真実はそれを否定する。すでに亡くなった人々と、これから亡くなる人々の魂を悼む。


2001.9.16 sun.

大蟻食の誕生日である。ということでホームページをほったらかしにしている大蟻食の近況をここでお知らせしておきたい。
相変わらずバイオリンを弾いているが、最近はそれよりも小説の方が忙しい。実際、バイオリンを弾く時間がないということで時々大騒ぎをしている。6月にもお知らせしたようにポルノグラフィーを進めており、それと並行して三つの作品をかなりのテンションで進めている。そのうちの二つは例のエスピオナージュで、もう一つは(たぶん)タレイランを扱っている。大学の後期の準備も一応はしているようだし、10月の日本アメリカ文学会に向けて予習もしている(「白鯨」ウォッチングに参加する)。ホームページの更新についてはわたしの方で常に無言の圧力を加えているので、今しばらくお待ちいただきたい。大蟻食も忘れているわけでは全然なくて、ただちょっと不器用なだけなのである。


2001.9.22 sat.

秋晴れ。午前中に美容院へ行って髪を切る。かなり短くしてもらう。家へ戻って大蟻食と一緒に昼食を食べながら 「マルコビッチの穴」 を見る。まだ見ていなかったのである。世間でやたらと評判になるとなかなか見ないという妙な癖があって、たとえば 「バウンド」「ユージュアル・サスペクツ」 などもそうであった。夜になってからマーティン・C.アロステギのノンフィクション「暗闇の戦士たち 特殊部隊の全て」(朝日文庫)を投げ出す。SASを中心とした特殊部隊秘話物で面白いところはあるのだけれど、「登場人物」が冷蔵庫から最後のビールを取り出して飲み終えた缶を潰したりするような描写があまりに多くて読んでいられなくなった。もしかしたらわたしの方が対象との距離に関してひどく神経質になっているのかもしれない。


2001.9.23 sun.

秋晴れ。大蟻食と一緒に二子玉川の第一園芸へ。大蟻食はレモンとオレンジの木を購入する。第一園芸から戻る途中の店で246の往来を眺めながら昼食を済ませ、ワインを一本買って帰宅する。なんとなく眠い。


2001.9.24 mon.

秋晴れ。なぜだか眠気がいっこうに晴れない。夕方になってから大蟻食と一緒にわたしの実家へ。弟夫婦もやってきて、みんなでおはぎを食べる。人数の変動が嫌いなゴンゾは、わたしに抗議行動を繰り返していた。


2001.9.30 sun.

午後から雨。昼からわたしの両親がやってきて、バイオリン・コンサートのチケットとトマトジュースを置いていく。

で、突然ですが、サーバーを引っ越しました。
ご不便をおかけしますが、今後ともどうぞよろしく。


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