マルコビッチの穴
- Aloysius' Rating: 6/10
Being John Malkovich (USA 1999,112min.) Directed by Spike Jonze Written by Charlie Kaufman Cast: John Cusack,Cameron Diaz,Lester, Catherine Keener,Orson Bean,John Malkovich, Charlie Sheen

人形使い、無数の動物、7と1/2のフロア、怪しい社長、穴、そして性的倒錯とそれぞれの描写はそれなりに際立っていると思うのだが、この映画にはいったん設定の説明が終了するとすべてが常態に組み込まれて以降の発展が閉ざされるという妙な習性がある。穴の向こう側にあるマルコビッチの精神世界については一応描写を加えようという努力がおこなわれているものの、何が見えるかを主体または状況によって都合よく変更するということをやった結果、本来ならばもっと複雑になる筈の仕組みが単純なままに終わってしまっている。つまり面白くなる筈のものが面白くなっていない。ジョン・キューザックという卓越したキャラクターを用意しておきながら中盤からはマルコビッチの独演会となり、最後はなぜかホラーになってしまうので、どちらかと言えばネタ殺しではないかという気もするのだが、バランスを度外視してキッチュとして見た場合には見応えがある。