クレオパトラ
- Aloysius' Rating:  6/10
1963年 アメリカ 244分
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
出演:エリザベス・テイラー、レックス・ハリソン、リチャード・バートン、ケネス・ヘイグ、パメラ・ブラウン、フランチェスカ・アニス


紀元前48年、ファルサルスの戦いのあと、ポンペイウスはエジプトへ逃れ、シーザーがポンペイウスを追ってエジプトに到着するとプトレマイオスの一党がポンペイウスの首を差し出し、クレオパトラは絨毯から転がり出てシーザーの前に姿を現わし、言葉を交わすうちにシーザーの心はクレオパトラに傾き、プトレマイオスの一党がクレオパトラの毒殺を試みたことからシーザーはプトレマイオスの一党をアレキサンドリアから追放し、クレオパトラはアレクサンドロスの偉業の前にたたずむシーザーを励まし、クレオパトラはシーザーの手でエジプトの女王となり、シーザーとクレオパトラのあいだにはシーザリオンが生まれるとシーザーは小アジアと北アフリカでの戦役に発ち、紀元前46年、ローマに凱旋して終身独裁官の地位を与えられ、クレオパトラはシーザリオンをともなってローマに現われ、シーザーは君主制への志向を示して元老院議員を狼狽させ、共和制の危機を感じた元老院議員は元老院でシーザーを暗殺し、事実を知ったクレオパトラはアントニーに見送られてローマを離れ、ここで休憩が入ったあと、アントニーはオクタビアンと結んで元老院派を倒すとレピドゥスを加えて三頭政治を始め、アントニーは当方の属州をことごとく得るが、資金に詰まってクレオパトラを頼り、そこでクレオパトラがタルソスまでやってくると、アントニーは自らがシーザーに及ばぬことをつらつらと述べて自己憐憫に浸り、それからなぜかアントニーとクレオパトラはそもそも相思相愛であったことが明らかになり、アントニーはクレオパトラとともにエジプトに移り、そのことでローマの顰蹙を買い、オクタビアンは和解のためにアントニーをローマに呼んでオクタビアと結婚させ、それを伝え聞いたクレオパトラは怒り狂い、東方属州の総督して再びエジプトに現れたアントニーはまたクレオパトラの前で自己憐憫のようなことをやり、散々に痴話喧嘩を繰り返した末にアントニーとクレオパトラはよりを戻し、事実を知ったローマはエジプトとの開戦に傾き、アクティウムの海戦がおこなわれ、アントニーは戦闘を放棄してクレオパトラを追ってエジプトに戻り、軍団からも見捨てられて自刃して果て、クレオパトラも手を毒蛇にかませてあとを追う。四時間超の超大作である。史実に反するほど壮麗なセットはそのスケールで目を奪うし、セットに限らず美術はとにかく作り込まれているし、エリザベス・テーラーは頻繁に衣装を変えるし、アクティウムの海戦もかなりまじめに再現されている。ダイアログはおおむねにおいてよく考慮され、演出もおおむねにおいてていねいだが、後半に入ってアントニーとクレオパトラの話になると、アントニーの言わば退屈さが前半のシーザーと露骨なまでに対照され、話の動きが悪くなる。そもそもクレオパトラでロマンスをやるというところにどこか無理があるのではあるまいか。同じ問題を抱えているとしても1934年のデミル版 『クレオパトラ』 のほうが尺が短い分、ましに見えた。リチャード・バートンのアントニー、エリザベス・テーラーのクレオパトラには格別の魅力はない。一方、レックス・ハリスンの微妙に年輪を重ねたシーザーはよくできているし、オクタビアヌス役のロディ・マクドウォールやアントニーの幕僚役のマーティン・ランドーなどの脇役陣は見栄えがいい。

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