ザ・パシフィック
- Aloysius' Rating: 8/10
2010年 アメリカ TV
監督:ティム・ヴァン・パタン、デヴィッド・ナッター、ジェレミー・ポデスワ、グレアム・ヨスト、カール・フランクリン、トニー・トー
出演:ジェームズ・バッジ・デール、ジョン・セダ、ジョセフ・マッゼロ、キース・ノッブス、ジョシュ・ヘルマン、ジェイコブ・ピッツ、ラミ・マレック、ウィリアム・サドラー、アニー・パリッセ


太平洋戦争における第一海兵師団の戦いをガダルカナル(Part1/2)からニューブリテン島(Part4)、ペリリュー島(Part5/6/7)、硫黄島(Part8)、沖縄(Part9)まで、全十話構成でまとめたミニシリーズ。
Part 1: Guadalcanal/Leckie  ガダルカナルに上陸した海兵隊H中隊は日本軍を探して密林を歩き、欠乏に苦しみながら陣地を構築し、日本軍の夜襲を受け、翌朝、砂浜を埋める日本兵の死体を見る。
Part 2: Basilone  H中隊機関銃小隊のバジロン軍曹は日本軍の夜襲を前に陣地を確保し、敵前に出て射界を確保し、英雄的な活躍をする。
Part 3: Melbourne  海兵隊H中隊はガダルカナルを離れて休暇のためにメルボルンに送られ、バジロン軍曹は名誉勲章を授けられる。
Part 4: Gloucester/Pavuvu/Banika  海兵隊H中隊はニューブリテン島のグロスター岬に送られて雨にたたられ、休暇のためにパヴヴ島へ送られてカニとネズミにたたられる。
Part 5: Peleliu Landing  ペリリュー島上陸作戦。心臓に雑音があったために志願を見送っていたユージン・スレッジも訓練を終え、迫撃砲兵として参戦し、戦場を体験する。
Part 6: Peleliu Airfield  第一海兵師団は日本軍の抵抗拠点を制圧するために掩蔽物のない飛行場を横断する。
Part 7: Peleliu Hills  海兵隊は日本軍が要塞化してたてこもる尾根に進み、あまりの過酷さにベテランの老兵までが脱落する。
Part 8: Iwo Jima  戦時国債勧誘のためにアメリカにいたバジロン軍曹は訓練基地で新兵の訓練を担当し、さらに志願して硫黄島の上陸作戦に参加する。
Part 9: Okinawa  ユージン・スレッジは沖縄で雨と泥と死体に囲まれながら日本軍との戦いを続け、終戦を迎える。
Part10: Home  それぞれの兵士が故郷へ戻り、H中隊のレッキー上等兵は職場に復帰し、ユージン・スレッジは悪夢にうなされる、

『バンド・オブ・ブラザーズ』 の太平洋戦争版ではあるが、目論見の違いと多分に戦域の違いから先行する姉妹編とはかなり異なったおもむきになっている。主要登場人物の階級は下士官以下(おもに上等兵)で、全体を通しての主人公は不在となり、主人公格の三人も必ずしも前景では扱われない。したがって視点は拡散したものとなり、加えて個別の戦闘における状況はいちおうの説明が加わるものの、戦闘における文脈は必ずしも重視されていない。バジロン軍曹の後方における行動と復員後のエピソードを除くとストーリー性はきわめて希薄で、過酷な状況を淡々と、ときには唐突に投げ出すことに力点が置かれ、その結果、画面にはひどく荒廃した風景が浮かび上がることになる。そして戦場の荒廃ぶりと兵士の精神面における荒廃ぶりはすさまじく、この目論見は見事に成功を収めている。タイトルがきわめて美しい。日本軍も含めて細部の描写にすぐれ、丹念な仕事ぶりに感嘆した。海兵隊のLVT、揚陸艦内部、さらにはメルボルンのギリシア人社会といった珍しい場面が多数登場する。

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