ミュータント・クロニクルズ
- Aloysius' Rating:  5/10
2008年 アメリカ 111分
監督:サイモン・ハンター
出演:トーマス・ジェーン、ロン・パールマン、デヴォン青木、ベンノ・フユルマン、ジョン・マルコヴィッチ、シャウナ・マクドナルド


宇宙から飛来した機械が人間をミュータントに改造し、このミュータントの大群が文明世界を崩壊させるので、そこに現われた英雄が機械とミュータントとを地中深くに沈んだ都市に封印する。それから500年ほどがたった28世紀初頭、世界はミシマ、バウハウス、キャピトル、インペリアルの4つの企業によって分割支配され、残り少ない資源を我が物とするために企業は戦争を繰り返していたが、その戦場で放たれた一発の砲弾が500年前の封印を破壊してミュータントが地上にあふれて地球は壊滅の危機を迎え、500年前の英雄が書き残した記録を保管している修道院の院長が兵士をつのってミュータントと戦う。修道院の院長がロン・パールマン、企業側のお偉方の一人がジョン・マルコヴィッチで、どちらもあきらかにやる気がない仕事ぶりで、まわりの無名のひとたちのほうがよほどに演技らしい演技をしていたような気がする。あと、 『ディセント』 のヒロイン、シャウナ・マクドナルドが戦争未亡人で登場する。映画の出来としてはかなりお寒いものではあるものの、アナログなコンセプトデザインが面白い。未来都市の造形がほとんどスターリン様式で、前線の兵士たちは第一次世界大戦とほぼ同じ装備で塹壕で雨に降られていて、敵陣からは変な形の兵員輸送車が進んでくるし、むやみとでかい巨砲で撃ち合いをするし、戦闘は白兵戦になるし、しかも航空機は蒸気機関で飛んでいる。蒸気機関で飛ぶので巨大な割にはほとんどがボイラーという感じの造形で、それが垂直で離着陸をする。このあたりの描写にかなりの力が入っていて、まず釜炊きがボイラーに石炭をくべるところから始まって、士官が蒸気圧を調べてエンジンを動かすとシリンダーが車輪をまわし、それでなぜ飛ぶのかわからないけれど、なにやら蒸気のようなものを大量に噴き出して飛び上がり、操縦系は転轍機と変わらないので、何かと言うととにかく渾身の力でレバーを動かし、急降下でもしようものならボイラー室の釜の蓋が開いて炎がこぼれ、石炭が客室にまで飛び込んでくるのである。脚本がフィリップ・アイズナー( 『イベント・ホライズン』 )、と聞くと、そういうものか、と納得しないでもない。いささか安普請ではあるものの、ミニチュアや美術はとにかく頑張っていた。

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