日本沈没
- Aloysius' Rating: 　3/10
2006年　日本　135分
監督：樋口真嗣
出演：草彅剛、柴咲コウ、豊川悦司、大地真央、及川光博、福田麻由子、吉田日出子、柄本明、石坂浩二

小松左京原作『日本沈没』の再映画化。 73年版 がもっぱら状況シミュレーションを主体としたのに対して、この2006年版では行政の中枢から末端の難民まで、視野を広く取ろうと試みているが、最後までそのつもりでバランスを取り続ける体力はなかったようで、結果としては草なぎ剛扮する小野寺俊夫が暇をもてあました状態であっちへふらふら、こっちへふらふらと動き回って人と出会い、その合間に柴咲コウと恋愛映画のようなことをやり、もっぱら心の問題についてのやりとりがあり、さらにその合間に日本が沈んでいく、というようなことになっている。それはそれで別にかまわないわけだけど、構成されていなければ思いつきを適当に並べた以上のものには見えてこない。視野が広いのではなく実はあやふやなだけなので、格別思い切ったこともしていないので破綻すらしていない。脚本が悪いのはわかっているが、それをなお悪くしているのは演出であろう。同じ監督の 『ローレライ』 でも思ったけれど、へたくそに継ぎ合わされたパッチワークをだらだらといつまでも見せられているような気分になってくる。CG主体のSFXは金のかかったTV映画の水準で、とりあえずの鑑賞には堪えるが劇場映画の水準には達していない（というか、むらが目立つ）。ところで豊川悦司扮する田所博士には、もしかしたら九人のクローンがいたのであろうか？　ほぼ同時に各所に存在しているかのように見えたので、思わずそう疑った。で、その田所博士だけど、シュミレーション結果にびっくりしてモニターを殴って壊していたが、そのあとで壊れたモニターを抱えて消沈していたのは価格を思い出したからであろうか？　あと、あの説明過剰の字幕はなんとかならなかったのか？
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