ローレライ
- Aloysius' Rating:  4/10
2005年 日本 128分
監督:樋口真嗣
出演:役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、石黒賢、粟根まこと、塚本耕司、井上肇


1945年の夏。ドイツから供与された潜水艦伊507は何かというと失神する難儀な秘密兵器ローレライを搭載して極秘任務で出撃する。
白状すると開巻、「君はドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことがあるかね」という台詞ですでにひっくり返っていたのである。樋口真嗣の演出は物が動いている範囲ではとりあえず鑑賞に耐えるが、人間が動いている部分では難が見える。ダイアログの七割、シーンの五割は不要であろう。テニアンに行くならテニアンに行くで、最初からはっきりと目標を定めてシンプルなプロットラインでてきぱきと軍事行動をすべきであった。それなのに余計な情感に走ってすぐに話を停滞させるし、そのせいでしばしば優先順位がひっくり返る。それと主要登場人物がいちいち「大事なアイテム(腕時計、家族写真、あやとりの紐、ボール、カメラ)」を抱えているのがうるさかった。伊507を送り出した浅倉大佐は何やらたくらみがあったようだけど、具体的に何を考えていたのかがさっぱりわからない。アメリカ海軍の駆逐艦が トロイア を目指すアカイア勢の軍船のように押し寄せてくる場面はなかなかに笑えたが、アニメのようにやる、ということであれば、出来の悪いアニメのような脚本は避けるべきではなかったか。

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