ポセイドン
- Aloysius' Rating: 5/10
2006年 アメリカ 98分
監督:ヴォルフガング・ペーターゼン
出演:ジョッシュ・ルーカス、カート・ラッセル、リチャード・ドレイファス、ジャシンダ・バレット、エミー・ロッサム、ジミー・ベネット
中南米のどこかからアメリカの東海岸を目指しているとおぼしき七万トンから十万トン程度の大型客船が大西洋上で唐突に襲いかかった津波にあおられてものの見事に転覆し、生き残った乗客が上下逆転した船内を脱出路を求めて船底を目指す。
1972年の
『ポセイドン・アドベンチャー』
のリメイクである。ただし状況は単純化されていて、なにがなんでも転覆するのだから、という理由でスタビライザーがどうの、バラストがどうの、という説明もいっさいはぶかれ、予告もなしに水平線を埋めて津波がやってくると、もう本当に無条件で転覆するのである。この思い切りのよさには感心した。それもただ転覆するのではなく、いったん復原したあと、爆発を起こしてまたひっくり返るという具合にていねいに転覆してくれるので、そのあたりのスペクタクル描写はかなりすごい(ただ、上下逆転という特異な状況はそれほど生かされていない)。そして壊滅的な被害をこうむった船内には72年版にはほとんど姿を見せなかった無残な死体がごろごろと転がるのである(KNBはレプリカをいっぱい作ってよい仕事をしていたと思う)。しかしながら映画自体はそれほどほめられたものではない。出演者はリチャード・ドレイファスを除けば軽量級、人物は造形が乏しく、プロットについても中盤、脱出経路にバラストタンクが選択され、プレッシャーバルブの連鎖反応を引き起こした結果、状況がさらに悪化する、といった新しいアイデアも盛り込まれてはいるものの、展開には魅力よりも疑問を多く感じさせる。ヴォルフガング・ペーターゼンだからということになるのかもしれないが、凄惨な現場を見せ物にすることだけを目指したような妙に質実剛健とした悪趣味があり、98分というこのクラスの映画には珍しい短めの上映時間が、おそらく発想のB級ぶりを証明している。そしてその範囲では決して嫌いではないものの、やはりそれだけでは困るような気がしないでもない。あと、パーティのシーンでは、やっぱり「モーニング・アフター」を歌ってほしかった。
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