ブラザーズ・グリム
- Aloysius' Rating: 　 8/10
2005年　イギリス・チェコ　117分
監督：テリー・ギリアム
出演：マット・デイモン、ヒース・レジャー、モニカ・ベルッチ、ジョナサン・プライス、ピーター・ストーメア、レナ・ヘディ

1811年のドイツ。グリム兄弟がペテンで荒稼ぎをしていた頃、チューリンゲンの森の奥では少女ばかりが十人も失踪する事件が発生する。フランス官憲によって逮捕されたグリム兄弟は身柄の自由と引き換えに事件が起こった村に送り込まれ、そこで森の女王に遭遇する。
『ジャバーウォッキー』 を彷彿とさせる視覚的な豊饒さに思わず胸が高鳴った。呪われている、と叫んでは床に唾を吐き散らすチューリンゲンの村のド田舎ぶり、そこへ十九世紀のフランス軍がまじで絡み、そのフランス軍は森の女王の息吹で吹っ飛び、ジョナサン・プライスのフランス軍の将軍はただもう絵に描いたように悪役で、ピーター・ストーメアのイタリア人拷問吏はただひたすらにお調子者で、マット・デイモンのウィル・グリムは 『ボーン・なんとか』 よりも断然によく、ヒース・レジャーのジェイコブ・グリムもいい味で、森の女王のモニカ・ベルッチが美しく、レナ・ヘディ扮する孤高の女猟師がまた美しい。現代的で手垢のついた物語的文脈で追いかけようとしてはならない。馬鹿げたメッセージなどはないのである。説話的な脈絡でのみ、追いかけて意味が通じる世界である。わたしはもう、ただひたすらに楽しんだ。
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