キングスパイダー
- Aloysius' Rating: 3/10
2004年 アメリカ 98分
監督・撮影・編集:ジェフ・リロイ
出演:リサ・ジェイ、エリック・フランナー、ジェフ・ライアン、フォーブ・ダラー


アメリカ陸軍の兵器開発センターから軍用に開発された毒グモの群れが逃げ出し、いったい何が起こったのか、いったん地下へ姿を消すと一匹の巨大なクモとなって現われる。そこで毒グモの開発の任にあった少佐は部下とともにロケットランチャーを備えた怪戦車(としか言ってみようがない、とてもいいかげんなミニチュア)に乗り込み、ハリウッドの町でクモと戦う。「少佐、このままでは民間人に犠牲者が」「かまわん、どうせハリウッドだ。裏の人脈で動く腐った町だ、発射、発射」ということでチャイニーズ・シアター、キャピタル・レコード、ハリウッド・ボウルなどに悪意を込めて砲撃を加え、町を火の海に変え、さらに「わはは」などと笑いながらハリウッドの大看板も破壊して遂にクモをやっつける。一方、兵器開発センターでは毒クモを入れた容器一個が紛失し、行方知れずとなっていたが、それは場末の録音スタジオに誤って届けられ、壊れた容器から這いだしたクモの群れが録音技師や素人バンドに襲いかかる。で、襲いかかるクモの頭目がなぜか『アウターリミッツ』のザンティ星人そっくりで、諸君、人類とへたくそな音楽を滅ぼすのだ、などと仲間に演説したりするのである。
事実上の自主製作映画で、前半は巨大怪獣もの、後半はスプラッター系モンスターものになっていて、一本が二本でお得でしょ、というような内容になっていて、「特撮」はいまどきちょっとお目にかかれないような手作りであった。クモはメカニカルだったり、吊っていたり、CGだったり、リアプロジェクション・スクリーンを這い回る切り絵だったりといろいろだが、どれをとってもみな安いし、クモに破壊される高速道路はプラ板一枚貼っただけだし、ビルは段ボールのように見えるし、ビルの窓にはアルミ箔が貼ってあるし、兵器はいいかげんだし、ヘリコプターの飛行シーンは見えないところを指でつまんで動かしているし、怪戦車内部のセットとヘリコプター内部のセットは角度を変えて共用されている。そして軍隊は同時に3人以上登場しないし、誰もコンバットブーツを履いていないし(だったら足をアップにするな)、迷彩服もたぶん自前で調達して勝手に着ているだけだし、ミニチュアに多くを頼っているのでステーション・ワゴンよりも大きな車両は登場しない(一度だけ、救急車がそれらしいショットで出てきたけれど、あれはゲリラ撮影だと思うな。きっとドキドキしたんだろうな)。どこかの大学祭で上映されたら、たぶん大評判になったことであろう。似たような内容のプロ作品に比べるとよほどに頭を使った痕跡があり、その点での頑張りは認めるが、素面ではなかなか見れない種類の作品である。

<Creepies>
キングスパイダー
キングスパイダーVSメカデストラクター

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