ターミネーター3
- Aloysius' Rating: 7/10
2003年 アメリカ/ドイツ 110分
監督:ジョナサン・モストウ
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ニック・スタール、クレア・デインズ、クリスタナ・ローケン、アール・ボーエン
「ターミネーター2」
のあの事件から10年が経過し、強い母サラ・コナーはすでにこの世になく、成人したジョン・コナーはなぜか世をはかなんで終わりのない放浪の旅の途上にある(どうやら母親の悪夢を引き継いでいるらしい)。で、川の流れを見下ろしながらビールを飲んだり、夜の山道にバイクを走らせて鹿をかばって転倒などをしていたりすると、新型ターミネーター"T-X"がビバリーヒルズのブティックのショーウィンドウに出現し、いつもの奴は砂漠の方に出現する。
T-Xはソアラを運転していた女性から服と車と携帯を奪い、データベースにアクセスして複数の人間の居所を調べる。いつもの奴は路傍のクラブに正面から乗り込み(たまたまレディースデーだったので)そこにいた唯一の男、つまり男性ストリッパーから服を奪い、その辺の車を奪って町を目指す。T-Xはすでに活動を開始し、未来の世界でジョン・コナーの幕僚となる人間を標的にしていた。そしてその標的の中にはジョン・コナーの昔の同級生で今は獣医をしているケイト・ブリュースターが含まれていた。それだけではない。ケイトが急患の電話(うちのニャンコが肺炎に)で呼び出され、早朝の時間に診療所に赴いてみると、そこでは鹿をかばって怪我をして治療を必要としていたジョン・コナーが犬の去勢に使う鎮痛剤を大量に服用していたのであった。
二人は昔を懐かしむが、ジョン・コナーは明らかに怪しい風体をしているので旧交を温めるには至らない。恐れを感じたケイト・ブリュースターは信じがたいほど機敏に動いてジョン・コナーを犬用の檻に閉じ込める。だがそこへT-Xが出現する。続いていつもの奴も現われる。いつもの奴はケイト・ブリュースターを診療所のバンの荷台に押し込み、ジョン・コナーを救い出して現場から逃がす。T-Xのプラズマ砲だかなんだかが電撃を放ち、いつもの奴は吹っ飛ばされ、T-Xがジョン・コナーを追って巨大クレーンを走らせると、いつもの奴はいつものように復活して白バイにまたがって後を追う。それやこれやでアクションがあって、墓場でもちょっとアクションがあって、その後も少しアクションがあって、それからいつもの奴が恐るべき真実を二人に明かす。ケイト・ブリュースターはジョン・コナーの妻で、しかもいつもの奴はジョン・コナーの命令ではなくて、ケイト・ブリュースターの命令に従うようにプログラムされていた。なぜならばいつもの奴を現代世界に送り込んできたのはいつものようにジョン・コナー本人ではなくて、妻のケイト・ブリュースターの方だからである。
しかしそれはそれとして、とジョン・コナーも観客も疑問に思う。スカイネットは10年前に破壊された筈だ。だから機械戦争は回避されたのではなかったか。実はあのスカイネットはスカイネットではなかったようなのである。そして本物のスカイネットはすでに自我を獲得し、人類に宣戦を布告しようとしていたのである。それだけではない、そのスカイネットを作ったのはケイト・ブリュースターの父、空軍将校のロバート・ブリュースターなのであった。いや、それだけではない、T-Xの標的にはそのロバート・ブリュースターも含まれていたが、そうなるとロバート・ブリュースターがスカイネットを正式に起動する前にT-Xが任務を果たしていた場合にはT-Xは存在しないことになるのではあるまいか。だが大丈夫だ、そんなことは脚本によって阻止されている。
スカイネットによる核攻撃まであと3時間。二人はロバート・ブリュースターを救うためにいつもの奴を引き連れて空軍の研究所へ乗り込んでいく。T-Xもすでにそこにいて、ブリュースター殺害を目論んでいた。それにしてもこの研究所にはターミネーターのプロトタイプや機械軍団の航空機のプロトタイプなどがごしゃごしゃとあって、なるほど出自はここであったか、などと考えているうちにスカイネットは本格的に発動し、またアクションがあって、いつもの奴はT-Xにプログラムをいじられ、あれやこれやとやっているうちに人類文明は滅ぼされてしまうので、婦唱夫随の気配が漂うケイト・ブリュースターとジョン・コナーの二人は機械との戦いを決意する。まだ続くのか?
大味、というのが監督ジョナサン・モストウ(
「U-571」
)の持ち味であろう。 この作品の最大の疑問点は間抜けな脚本でもT-Xの設定の一貫性の乏しさ(外装だけが液体金属?)でもなくて、あのエドワード・ファーロングがどうして成人するとこういういじけた顔のジョン・コナーになってしまうのか、ということではないだろうか。母親の言動が異常だったり、異常な言動を裏付けるようなロボットが出現したりという異常な少年期を送った結果、多少のことがあっても不思議はないと思うけれど、ここでジョン・コナーを無理矢理ふつうのひとに引き寄せている理由がよくわからない。これに限らずT-Xも含めてキャラクターが全体に未消化のままだし、映画そのものもばらついたプロットの辻褄合わせに終始しているように見えなくもない(とはいえ、ジョン・コナーが最初から野良犬状態になっていて犬の鎮静剤を飲んで爆睡して犬の檻に閉じ込められて、最後には獣医にもらわれてしまう、という主筋自体は決して悪くない)。ターミネーターが
嘘をつく
といったような過去のシュワルツェネッガー出演作のパロディやシリーズ・ネタも野暮ったいだけ。アクションはふんだんに盛り込まれているが、どちらかというと壊しているだけで、つまりキャメロンのようなアイデアがない。
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