リベリオン 反逆者
- Aloysius' Rating: 6/10
2002年 アメリカ 107分
監督: カート・ウィマー
出演: クリスチャン・ベイル、ドミニク・パーセル、ショーン・ビーン


21世紀初頭、第三次世界大戦が勃発し、生き残った人類は第四次世界大戦を回避するために一切の感情を捨てる決意をする。怒りや憎しみが戦争を起こしたに決まっているからである。そんなことよりも非武装化した方が話が早いのではないかと考えていると、いきなり抵抗勢力との戦いになって重武装の警官隊が出動する。なにしろ感情を捨ててしまった世界なので情動の起点になるような絵画や音楽も禁止されていて、抵抗勢力が床下に本物のモナリザなどを隠していると摘発されて焼却されてしまうのである。もちろん抵抗勢力の方でも摘発されるのを黙って見ているわけではなくて、こちらはこちらでしっかりと武装していたりするので、これはやはり感情の問題よりも武器の問題であろうなどと思って見ていると、部屋にこもった抵抗勢力を処理するためにクラリックなる特殊技能者が送り込まれる。クラリックは「ガン=カタ」とかいう格闘技を習得していて、これができると相手が撃った弾は当たらない、こちらが撃った弾は必ず当たるというたいそう都合のよい結果を引き出すことができるのである。というわけでクラリックは任務を遂行するのであったが、もちろん現政権の圧政に疑問を抱いて抵抗勢力に心を傾け、最後は悪い独裁者と一騎打ちということになる。
話は電脳空間のない 『マトリックス』で、 独裁者が安直にも「ファザー」と名乗り、その政府が怪しい本を発行しているところは 『1984年』 を意識したような気配があるものの、設定の単細胞は否めないので 『デモリションマン』 の世界の方が雰囲気的に近いような気がするし、司法官が武装の面でひどくインチキをしているというあたりでは同じくスタローン主演の 『ジャッジ・ドレッド』 に似ているし、察するにほかにいろんなものを参考にして継いだり剥いだりしているのではあるまいか。何事も無駄にすまいとする頑張りは認めよう。ちなみに武器はあらかた現用品、車は真っ白に塗っただけ(でも白塗りの化学消防車はそれなりに異様で迫力があった)。問題は「ガン=カタ」にどの程度の説得力があったかということになるのかもしれないが、これのせいで主人公がむやみと強くなって、おかげで退屈な殺陣を長々と見なくても済むようになった、と考えれば、説得力はともかくとしても決して無価値ではないような気がする。

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