2000.09.01 fri.

九月に入ったが、わたしの夏休みはまだ続いている。月曜日に仕事に復帰できるかどうか、ちょっと心配になってくる。


2000.09.02 sat.

都心の気温が37.8度! この夏最高の暑さだそうである。どうやら箱根の山のせいでフェーン現象が起こったらしい。そんな状況で近所の神社へ行ったらそこら中を蚊に刺された。こちらの肌が弱くなっているのか最近の蚊が悪質なのか、一度刺されると直りが悪くて閉口する。夕方から大蟻食と一緒にわたしの実家へ。ここのところの不快指数の高さのせいなのか、ゴンゾはひどく機嫌が悪い。


2000.09.03 sun.

まだ暑い。昼過ぎに食事をしようと外へ出たら、上空をバートル3機が編隊を組んで飛んでいくのが目に入った。石原慎太郎の「陸海空三軍統合防災訓練」をやっていたのだ。夜になってNHKのニュースを見たら、銀座の上空だかをヒューイ・コブラが舞っている映像が流れていた。対戦車ヘリをいったいどんな防災訓練に使ったのだろうか? 
深夜、大蟻食と一緒にマンゴーを食べながらNHKアーカイブスで「わたしの国益論」を見る。1971年製作の番組である。いやあ、みなさんお若い。しかもけっこうナショナリストだ。


2000.09.06 wed.

大蟻食と一緒に昼からホシヅル忌へ。午後から日本SF作家クラブの臨時総会に出席する。散会した後、表参道へ出てちょっとビールを飲む。原宿界隈にはほとんど足を踏み入れることがないので、たまに訪れるとその変貌ぶりに感心する。建物がずいぶん入れ替わり、オープン・テラスのカフェが増え、そしてもちろん人が多い。わたしが出入りしていたのはかれこれ20年も前のことでラフォーレ原宿ができたばかり、目当てはその地下にあったSTARLOGの店であった。


2000.09.09 sat.

大蟻食を当人の実家へ返品し、わたしは勇んで初日一回目の 「U-571」へ。 潜水艦と飛行船の映画は一人で見にいくのである。ざまあみろ。渋東シネタワーは一人で来ている30代から初老までの男性でいっぱいだ。みんなわたしと同じように潜水艦と飛行船の映画を見にいくときには家に女房を置いてくるか、実家に返すかするのであろう。うっかり女房などを同伴すると、スクリーンに映し出された潜水艦や飛行船を指差して「なぜあのような妙な格好の乗り物が好きなのか?」「形状が男根に似ているからか?」などというばかげた質問を山ほど聞かされることになるからである。映画は取り敢えず満足できる水準に達していた。本編の前に「X-MEN」の予告編を見て、どうやら悪役を 「ゴッド・アンド・モンスター」 のイアン・マッケランがやっているようだと気がついた。そこからなぜか老人怪優→デビッド・ゲイル→ 「死霊のしたたり」 →スチュアート・ゴードンという連想が働き、そうだスチュアート・ゴードンのあれをまだ見ていなかった、ということを思い出してビデオ店で 「キャッスル・フリーク」「ヘモグロビン」を 借りて帰る。後者はすでに一度見ていたが、SF・ホラー系の棚の前に立っているうちにまた見たくなったのである。帰る前に本屋に寄ったら浦沢直樹「20世紀少年」3巻と遠藤浩樹「EDEN」5巻が出ているのを発見。さらにミリオンムックから聖咲奇監修「新映画宝庫 vol.1 モンスターパニック」なるものが出ているのを見つけて購入する。潜水艦映画を見てゲテモノ映画のビデオを借りて、面白いマンガの単行本最新刊に加えてモンスター映画のムック本まで手に入れたのだから、これはもうほくほくである。


2000.09.10 sun.

前日の行動がまだ尾を引いていて、B級状態である。ということで 「ティックス」「スポンティニアス・コンバッション」 を見る。どちらもすでに見ていたが、もう一度見たくなったのである。


2000.09.15 fri.

休みなので大蟻食と一緒にまず「アリー・マイ・ラブ2」の1巻を見る。その後、なんとなくもたもたしているうちに夕方になり、シドニーオリンピックの開会式を見ているうちに買い物に出かけるタイミングを失った。というわけで夕食にはケイタリングの中華を頼み、そのまま開会式を見続けたわけだが、なんだろうね、日本選手団のあのテルテルボウズは? 日の丸云々はあまり好きじゃないけれど、それにしてもあれはほとんど国辱なんじゃなかろうか。NHKのアナウンサーも絶句していたし、その後の情報によれば選手も直前まで知らなかったという。秘密にしておいたのは顰蹙覚悟でやっている、ということなんだろうけれど、顰蹙覚悟であれをやる理由というのはいったいなんだ? それともまさかと思うけど、感心してもらえるとでも思っていたのかね? あんな格好をさせられた選手団がちょっとかわいそうでした。ああいう気張り方をする意味は最早なにもないと思う。イギリスの選手団みたいに普通のスポーツウェアというのがよろしいのでは?。
開会式の後、ワインを抜いて「アリー・マイ・ラブ2」の2巻を見る。


2000.09.16 sat.

台風17号の影響で一日中雷鳴が轟いていた。かれこれ40年生きているが、こんな経験は初めてである。陽が沈んでから窓を開けたら(一日中、空調をつけていた)、硫黄のような異臭を感じた。南風が三宅島の噴煙を運んできたのであろう。
さて、新聞によれば、あのテルテルボウズの件でJOCに苦情の電話が殺到したようだ。対するJOCのコメントによると、やはり顰蹙覚悟でやっていたようなのである。どうも、地味にすると国民の顰蹙を買うようなので、だったらいっそということで派手にしてみた、ということらしい。もしかしたら滅茶苦茶な格好をさせて、それで選手にプレッシャーを忘れさせる迂遠な意図があったのではなかろうか。どこでもそうだけどスポーツ関係の管理組織というのは得体の知れなさでは想像を絶する部分がある。それはそれとして、柔ちゃん、金メダルおめでとう。夜、前夜のワインの残りを飲みながら「アリー・マイ・ラブ2」の3巻を見たが、前のシーズンに比べると少しばかり話の作りがこじんまりしてきたような気がしてならない。大蟻食が寝てしまった後、ひとりで 「パイソン」「インセクタ」を見る。


2000.09.17 sun.

朝のうちはまだ雷が鳴っていたが、午後には雲の間から陽の光が射し込んでくる。雨上がりに真夏と変わらない日差しなので、とにかく蒸し暑い。長野の時もそうだったが、オリンピック開催期間中はテレビをつけて、その前になんとなく座っていることが多い。日本対アメリカの野球の予選はなかなかテンションが高い試合であった。その後、花輪和一「刑務所の中(青林工藝舎)」を読む。日本の刑務所の前近代的な状況については一応の知識を持っていたつもりだが、やはりあきれるばかりである。我が国の教育刑なるものは、最低水準の小学校を思わせる。懲罰的な機能を強調する必要については取り敢えず見解を保留しておくが、仮に教育的な効果を狙っているのだとしても、あのような非近代的な機能は人間を後退させ、精神的な貧困へと追いやるばかりだろう。入管にしてもそうだが、法務省管轄組織はどれも悪弊を引きずるばかりで自浄作用を発揮できない。法の適用を自己の権威と混同しているからではないだろうか。


2000.09.23 sat.

青池保子「エロイカより愛をこめて」26巻と城戸ゆきと「水中騎士」3巻を読む。なんとミーシャには年頃の娘がいるではないか。「水中騎士」はもしかしたらこれで終わりなんだろうか? だとしたらちょっともったいない。夜になってから 「スクリーム3」 を見る。けっこう面白かったのである。


2000.09.24 sun.

まだ暑い。秋の風が吹いてはいるものの、陽射しはほとんど夏のままだ。夜、BS2でフランケンハイマーの 「フィクサー」 を見る。初めてである。ただし後半はチャンネルを変えて、NHK特集でスーダンの食糧援助コンボイを見る。ここまでひどい状態だとは知らなかった。NHK特集の後、ビデオを巻き戻して「フィクサー」の残りを見る。 「聖なる嘘つき」 あたりと比べても、最近の映画の方がユダヤ的突っ込みが鋭いと思うのだが、これは時代のせいであろうか。


2000.09.30 sat.

T・エイギンス「ファッションデザイナー(文春文庫)」を読み終える。ハイファッション系の軽い噂話かなと思って読み始めたら、アパレル業界の性格の歴史的な変遷、現代におけるファッションの価値についての真面目な分析、様々なファッションハウスの経営面からの評価と実に多角的で骨の太い著作だったのである。堪能した。よく見たら作者はウォールストリート・ジャーナルの記者であった。
午後から大蟻食と渋谷の東急文化会館へ。まず6階の三省堂コミックステーションへいって星野之宣「コドクエクスペリメント2」、うすね正俊「砂ぼうず」7巻、いしいひさいち「ドーナツブックス」34巻、35巻を購入する(あと、「美味しんぼ」も)。次に5階の三省堂書店へ移動し、スティーブン・プレスフィールド「炎の門(文春文庫)」、火野葦平「陸軍(光文社)」、他にインパール作戦関係数点を購入。「炎の門」は世にも珍しいペルシア戦争ネタである。6階5階ともにけっこうな収穫であった。それから階段を1階までおりていって渋谷パンテオンに入り、ローランド・エメリッヒの新作 「パトリオット」 を見る。大満足であった。


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