砲艦サンパブロ
- Aloysius' Rating:  8/10
1966年 アメリカ 195分
監督:ロバート・ワイズ
出演:スティーヴ・マックィーン、リチャード・アッテンボロー、キャンディス・バーゲン、リチャード・クレンナ、マコ、エマニュエル・アルサン


1926年、海軍兵曹で機関士のジェイク・ホルマンは転属命令を受けて上海に到着、揚子江を移動して長沙におもむいてそこで砲艦サンパブロでの勤務を開始するが、乗員の一人ひとりに中国人の下男がついていて、機関室の作業も中国人の下男がしていて、下男を束ねる中国人のボスもいて、ビルジをチェックするのにも中国人のボスの面子を立てなければならないという有様で、単なる機械屋であるジェイク・ホルマンはこの環境に馴染めないまま仕事を続け、そうしているあいだに排外主義が動いて共産党が挑発し、国民党も挑発し、サンパブロのコリンズ艦長は星条旗を押し立てて前線に立ち、同僚のフレンチ―は中国娘との純愛に走り、ジェイク・ホルマン自身もバーモント出身のの高校教師シャーリー・エッカートと気持ちをかよわせるが、国民党に扇動された集団がサンパブロに圧力を加え、サンパブロの艦内は緊張で満たされ、翌年の春、ついに南京で事件が起きると状況はすぐさま長沙にも波及し、緊張の果てで異常なヒロイズムに冒されたコリンズ艦長は危険な選択をする。 ジェイク・ホルマンがスティーブ・マックィーン、シャーリー・エッカートがキャンディス・バーゲン、フレンチ―がリチャード・アッテンボロー、コリンズ艦長がリチャード・クレンナ。キャラクターに明確な対照性を与えた脚本はシンプルだがよくできている。ロバート・ワイズの演出は抑え目だが非常に丹念で、3時間を超える上映時間をまったく無駄に使っていない。内容的にはベトナム戦争を意識したものとなっているが、ナショナリズム、コスモポリタンそれぞれの幻想と破滅はいまにいたるまで変わっていない。香港、台湾ロケの長沙、揚子江の様子はすばらしい仕上がりで、20年代の中国を描いた視覚的なインパクトは半端ではない。そしてとりわけすばらしいのがサンパブロで、機関室は言うまでもなく装備や戦闘配置の手続きまで、細部にわたって実にこまかく描かれていて、その資料的な価値も半端ではない。

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