アンナ・カレーニナ
- Aloysius' Rating: 　6/10
2012年　イギリス　130分
監督：ジョー・ライト
出演：キーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ、アーロン・テイラー＝ジョンソン、ケリー・マクドナルド、マシュー・マクファディン、ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル

政府高官の夫と一人息子とともにペテルブルクで暮らすアンナ・カレーニナは実兄が浮気をしていることを知って兄夫婦の関係を修復するためにモスクワを訪れ、そこで青年将校ヴロンスキーと出会って恋に落ちて強引なヴロンスキーに押されるまま関係を発展させたところアンナ・カレーニナは情熱のとりことなって結婚生活を破綻に導く。 実を言うとトルストイのこの、なんというのか、世に言うところの女性観は好きではないが、脚本は原作をたくみに刈り込みながら要領よくエッセンスをまとめているし、キーラ・ナイトレイはすばらしい演技を披露している。ジュード・ロウもなかなかの見ごたえで、周辺人物も含めてキャスティングは成功していると思う。美術、衣装、所作なども水準以上で、そこだけを見れば近年のコスチュームプレイとしては破格の仕上がりだと言ってもいいかもしれない。問題は演出で、演劇的な空間を明示的に提示して話を始めておきながら間もなくその空間をキャットウォークに広げ、客席を閣議や舞踏会や競馬の会場に変え、そのうちにふつうに外へ出かけてロケをして、それからまた思い出したように舞台に戻る、という手法は正直なところまったく理解できなかった。ある種の様式化が試みられていたのは間違いないと思うが、統一感を得られないまま断片化している。
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