ツーリスト
- Aloysius' Rating: 　6/10
2010年　アメリカ/フランス　103分
監督：フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演：アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー、ティモシー・ダルトン、スティーヴン・バーコフ、ルーファス・シーウェル

警察の監視下にある謎の美女エリーズ・クリフトン・ワードはパリのカフェでアレクサンダー・ピアースからの指示を受け取り、指示のとおりにリヨン駅からヴェネチア行きの列車に乗ってそこでアレクサンダー・ピアースと背格好が似通った男フランク・トゥーペロに接近してヴェネチアでは自分の宿泊先に招き入れ、アレクサンダー・ピアースの裏切りによって23億ドルを奪われたギャングのボス、レジナルド・ショーはフランク・トゥーペロが姿を変えたアレクサンダー・ピアースであると判断して配下にフランク・トゥーペロを追わせるが、フランク・トゥーペロは逃亡してイタリア警察の保護下に置かれ、そのイタリア警察によってレジナルド・ショーに売り飛ばされるところをエリーズ・クリフトン・ワードによって助けられ、エリーズ・クリフトン・ワードはアレクサンダー・ピアースを警察に渡すために会合の場所へとおもむくが、そこへ帰国させたはずのフランク・トゥーペロが現われ、会合の場所は変更され、変更された会合の場所にはギャングが現われ、エリーズ・クリフトン・ワードは生命の危機にさらされるが、アレクサンダー・ピアースの確保を最優先する警察は妙な意地を張って介入を控え、ギャングの前にはフランク・トゥーペロが現われる。謎がなにやら謎を呼んではいるものの、作り手の関心は謎ときやサスペンスよりも対象から適当な距離を取って観察することにあるようで、ダイナミズムは排除され、かわりにどこか人間じみた間抜けな瞬間がところどころに出現する。つまり題材は著しく異なるものの、タッチは 『善き人のためのソナタ』 とほとんど同じなのである。淡々として、地味ではあるが無駄のない演出が頼もしいし、クリアな空間処理と丹念なカメラワークが好ましい。アンジェリーナ・ジョリーはとにかく貫禄があり、ジョニー・デップがいい演技を残している。ほんの少し顔を出すだけのティモシー・ダルトンがいい感じ。
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