マイ・ブラザー
- Aloysius' Rating: 　5/10
2009年　アメリカ　105分
監督：ジム・シェリダン
出演：トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、サム・シェパード、クリフトン・コリンズJr.、メア・ウィニンガム

アメリカ合衆国海兵隊のサム・ケイヒル大尉はアフガニスタンへの派遣が決まり、その弟のトミーは銀行強盗をしたあと刑期を終えて刑務所から戻り、出かける者と戻った者が一つの食卓に会すると、一方は国家に奉仕する英雄で、もう一方はろくでなしであることからいささか気まずい空気が流れ、それでもサム・ケイヒル大尉はアフガニスタンにおもむき、ヘリコプターで移動中に撃墜されて死亡したことになり、訃報を受けた家族は悲しみにひたり、トミー・ケイヒルもまた悲しみ、サム・ケイヒルの妻グレースのためにあれやこれやと世話を焼くと、サム・ケイヒルの二人の幼い娘はトミー・ケイヒルに親しみを抱き、グレース・ケイヒルもまたトミー・ケイヒルに親しみを抱くが、親しみが一線を越えようとした頃、アフガニスタンで捕虜となって過酷な扱いを受けた上にひとには言えないような秘密まで抱えたサム・ケイヒルが帰還を果たし、家族に迎えられるものの、トミー・ケイヒルが自分の一家と親しく過ごすのを見て疑いを抱き、トミー・ケイヒルとグレース・ケイヒルのあいだに肉体関係があったものと確信し、妻のところに戻るために自分が戦場で失ったものを秤にかけて夜中に激昂する。サム・ケイヒルがトビー・マグワイア、トミー・ケイヒルがジェイク・ギレンホール、グレース・ケイヒルがナタリー・ポートマン。兄弟の父親がサム・シェパードで、これでは何もなくても不穏な気配は避けられないはずなので、嫁のナタリー・ポートマンははだしで逃げ出すべきであったが、たぶん鈍感なのでそういうことにはならないのであろう。トビー・マグワイアの怖い顔とナタリー・ポートマンの表情が三つくらいしかない上に娘役の小さな子役にまで負けている大根ぶりが目立つ映画であった。登場人物の悲惨な状況にかこつけて映画は深刻ぶって見せるが、状況に対して格別の関心を持っているわけではない。オリジナルのデンマーク映画『ある愛の風景』は未見だが、その中身をただ追っていただけなのではあるまいか。舌足らずで退屈な映画であった。
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