レディオ・オブ・ザ・デッド
- Aloysius' Rating:  4/10
2009年 アメリカ 90分
監督:コービン・バーンセン
出演:ビル・モーズリイ、デヴィッド・モスコー、パトリシア・トールマン、ナヴィド・ネガーバン


ラジオのDJが自分の番組でおしゃべりをしていると電話で事件を知らせる声があり、テレビを見ると全米で同時多発テロがあって、謎のウィルスが放出されてウィルスに感染した人間が目から血を流しながら人間に襲いかかっているようなので、ラジオのDJは番組からリスナーに訴えて情報を集め、自分の家族の安否を確かめるためにパートナーをバイクで町へ送り、その様子を実況放送するなどのことをしていると、そこへウィルスを流したテロリストが一人でピストルを構えて押し入ってきて、事件はイスラム教徒のしわざであり、さらに核爆発の危険があり、放出されたウィルスはFBIが開発したものであるとラジオで話すように要求し、DJがその理由を訪ねると憎悪をあおり、アメリカ人の憎悪をアメリカ政府に向けるためであるとテロリストが説明し、そのテロリストもまたウィルスで凶暴化したアメリカ人によって分相応の最期をとげ、しかしテロリストは血清を残すので、凶暴化した人間がウィルスの効果で死に絶えると番組のプロデューサーはWHOに血清を渡し、DJは家に戻って生き延びた妻子を抱きしめる。現代アメリカにおける生存の不安を訴えようとしているらしいが、過剰なメッセージ性は作品を幼稚に見せるだけだし、ダイアログがそもそも意図に追いついていない。状況をラジオ局のスタジオに限定するというアイデアは決して悪くはないものの、おそらくは想像力の不足から限定しきれないことになり、現場の状況に話が移ると暴徒の群れが車の途切れたタイミングで道に現れるといった具合に恐ろしい低予算ぶりが露呈する(全編にわたって交通規制をしている気配がまったくないので普通に車が走っている)。出演者はいちおうベテランをそろえているし、DJを演じたビル・モーズリイの独特の風貌は見ごたえがあるが、暴徒の動きやアクションも含め、演出は二流である(アマンダ・ペイズの亭主だって?)。いっそゾンビまがいの話はやめて、ウィルスのせいで全米の市民がいっせいに本音をしゃべるようになり、番組に電話をかけてきて恥ずかしいことをしゃべりまくる、といった内容にでもしたほうがラジオ局という設定を生かすことができたのではあるまいか。ウィルスの効果が消えたところでみんなで一緒に恥じ入れば、おそらく結論は一緒であろう。

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