カールじいさんの空飛ぶ家
- Aloysius' Rating: 8/10
2009年 アメリカ 103分
監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
出演:エドワード・アズナー、ジョーダン・ナガイ、ボブ・ピーターソン、クリストファー・プラマー
長く連れ添った妻を亡くしたカール・フレドリクセンは再開発の波にさらされて家を失うことになり、養老院から迎えがやってきたその朝、もともとが風船売りであったことから特技を活かすことにして大量の風船を使って家ごと離陸し、妻とともに訪れることを約束していた南米の秘境パラダイスフォールズを目指して飛んでいく。冒頭、カールとエリーの仲睦まじい夫婦ぶりと、その結果として立ち現れる避けがたい孤独を描く寡黙な場面ですでに涙腺を刺激されていた。ピクサーの作品を見て、ここまで追い詰められたような気持ちになるのはおそらく初めてのことであろう。このままこの調子でいったらどうなるのか、と少々心配していたが、フレドリクセン老人がラッセル少年とともに訪れる南米の秘境では、いかにもピクサー的な、と言うべきであろう病的なキャラクターが次々と現れ、安心した。狂人チャールズ・ムンツ(声はクリストファー・プラマー)のセオリーどおりの狂人ぶり、チャールズ・ムンツに使われているやまほどの犬たちの身も蓋もない飼い犬ぶり、勝手に自己完結しているところが徹底的に大自然な怪鳥も登場し、笑わせてくれる。風船のじわじわとした描写がものすごいし、しかも最後は飛行船に複葉機で空中アクションまでしてくれるのである。きわめて本質的な孤独感をきわめて古典的な手法に訴えかけるところで重たくなってはいるものの、非常に満腹できる映画になっている。なお、最新のデジタル3D上映はこれが初めての体験だが、この作品に関して言えば必要性がやや疑わしい。
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