2012
- Aloysius' Rating:  6/10
2009年 アメリカ/カナダ 158分
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ジョン・キューザック、キウェテル・イジョフォー、アマンダ・ピート、オリヴァー・プラット、ダニー・グローヴァー、ウディ・ハレルソン、ジョージ・シーガル


太陽の活動が極大化し、地球に降り注いだ大量のニュートリノが言わば電子レンジのように地球の核を温めるので、急激な地殻変動が始まって文明世界は崩壊し、少数の人々がチベット奥地で秘密裏に建造された巨大な船に乗り込んで難を逃れる。で、巨大な船の乗船券はおひとり様十億ユーロなので、内職にリムジンの運転手をしているジョン・キューザックにはとうてい購うことはできないし、そもそもお知らせすらこないので、たまたま耳にした船の話とたまたま手にした地図を頼りに家族を引き連れて崩壊中の世界を乗り越えていくのである。ジョン・キューザックというある種ボヘミアン的なキャラクターが適当に悲壮感を抑え込み、途中で合流するロシア人一家のいかにもなロシア人ぶりもほどよく悲壮感を抑え込み、だから起こっていることの割にはそれほど悲壮な展開にはならないものの、悪趣味な脚本は最後のほうになってそのあたりの不足を補うべく余計な困難を登場人物にふりかけて観客の忍耐を試みる。ローランド・エメリッヒだから、なのかもしれないが、そうしたことも含めて人類に対してかなり冷笑的な作品である。とはいえ、前兆の扱い方が実にうまいし、容赦のない天変地異の場面もすさまじいし、スーパーボルケーノと化すイエローストーンもすさまじいし、大津波もすさまじいので見どころに事欠くということはない。しかしこの映画の最大の見どころは、きわめて短いシーンではあるものの、脱出船の甲板ににょきにょきとセイルが現れるところであったような気がしないでもない。ダニー・グローヴァーの大統領は悪くないが、オリヴァー・プラットが一人で悪役なのでかわいそう。息子が日本人の嫁をもらったと話している老ジャズマンが、よく見たらジョージ・シーガルなのであった。

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