ダラパティ/踊るゴッドファーザー
- Aloysius' Rating: 6/10
1991年 インド 166分
監督:マニ・ラトナム
出演:ラジニカーント、マンムーティ、ショーバナ、アラビンド・スワーミ
1957年、14歳ほどの少女が男の子を産み落として貨物列車の貨車に捨て、子供はスラムで拾われてスーリヤという名を与えられ、それから32年が経過する。スーリヤは正義感が強いので地元のごろつきを殴り殺して殺人罪に問われて警察に逮捕されるが、ごろつきの元締めデーバラージは殺されたごろつきのほうに非があったことを認めてスーリヤを救い、スーリヤは救われたことでデーバラージに命を捧げることを誓い、二人はいわば義兄弟の関係となる。そしてスーリヤが善人であったことからデーバラージもまた隣人から感謝を捧げられるようになり、二人は私法に基づいてさまざまな正義をおこなって、路上でひとを殴ったり、路上で警官の腕を切り落としたり、路上でひとにガソリンをかけて火を放ったり、といったことをしていたが、傍目にはこれは無法状態と見えなくもないので新任の若い知事(と字幕にあったが、実際には警察のコミッショナーという感じか)アルジュンは状況の改善に乗り出すものの、デーバラージもスーリヤも権力機関の無作法を指摘して非協力的な態度を取り、アルジュンが手入れを繰り返すうちに状況はさらに悪化し、そうしているあいだにアルジュンの父親が自分の妻の発言とスーリヤの発言とのあいだに微妙な符合があるのに気づき、それからあれやこれやがあって悪い者は分相応の最期を遂げ、役人はうまい具合にひよるので、最後は一家で大団円。開巻、三分もしないうちに「またかよ」と口走っていたが、つまりそのくらい状況設定に芸がない。話はご都合主義で俗情と結託しまくり、悪いやつは問答無用に悪いので言い訳をする間も与えられずに袋にされ、主人公の親友は十四か所も刺されても死ぬまでは決して死なないのである。とはいえ、そのどうでもいいような話を2時間50分、どうにかもたせてしまう筆力は半端ではない。ところどころ、理解に苦しむシーンもないではなかったが(なぜいきなり時代劇に?)、歌もいいし、踊りは見ごたえがあり、ラジニカーントをはじめ、どの役者もいい味を出している。そしてここが肝心なところだが、シネスコサイズの絵がいちいち様になっているのである。
IMDb で
を検索します。
* Search provided by
The Internet Movie Database
.