ベンジャミン・バトン 数奇な人生
- Aloysius' Rating: 7/10
2008年 アメリカ 167分
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・フレミング、イライアス・コティーズ、ジュリア・オーモンド、ジャレッド・ハリス
第一次世界大戦終結の知らせに沸くニューオーリンズで一人の赤ん坊が老いた姿で産み落とされ、狼狽した父親はその子供を養老施設の前に捨てる。子供はベンジャミンと名づけられて施設で育てられ、成長するとともに若返り、恋心を覚え、思春期を迎えて性と飲酒を経験し、施設から出てタグボートの乗員となって世界をまわり、第二次世界大戦に従軍してニューオーリンズに戻り、そこで父親と出会って家業を譲り受け、宿命的な恋をして愛する女性を家に迎え、子供を作り、若返り続ける自分と子供の成長とを見比べて不安を覚えると家を飛び出して世界をまわり、再びニューオーリンズに戻ると認知症を抱えて赤ん坊になっていく。二時間半を超える上映時間をまったく退屈させない筆力はたいへんなものである。
『ゾディアック』
と同様、長いタイムスパンを扱っているが、こちらは若干の多声性を加えられた回想録風のスタイルとなり、奇怪な人生をやや情動に傾けてはいるものの、丹念に作り上げられた歴史的な描写が美しい。ブラッド・ピットはきわめてよい仕事をしており、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントンも印象的な演技を残しているが、ケイト・ブランシェットがダンサーというのは体型的にやや無理があったような気がしないでもない。また主人公のきわめて特異な体質に対して格別踏み込んだ解釈をしないまま、ただ世界と向き合わせるという選択をしているため、特に終盤近くで再び放浪が始まるあたりから、この素材が意外なほど単純にアウトサイダーとして位置づけられていることが判明する。おそらくそのせいで、やや薄味という印象が残る。
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