3時10分、決断のとき
- Aloysius' Rating: 6/10
2007年 アメリカ 122分
監督: ジェームズ・マンゴールド
出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ピーター・フォンダ、ヴィネッサ・ショウ
『決断の3時10分』
のリメイク。大筋はオリジナルのとおりだが、クリスチャン・ベイル扮するダン・エヴァンスには南北戦争で負傷して片足を失い、そのせいで政府にお払い箱にされたと考えており、牧場経営に関する現実の圧力は暴力的な様相を帯び、水は意図をもって堰きとめられ、借金取りは借金の返済を求めて納屋を焼き、そうした暴力的な圧力に暴力をもって対処できない父親を息子は激しく軽蔑し、軽蔑を口に出すことを隠そうとしない。一方、ラッセル・クロウ扮するベン・ウェイドは単なる無法者ではなくて崩壊家庭出身の無法者ということになり、母親が自分を捨てたいきさつをダン・エヴァンスに語ったりする。そして冒頭に登場する駅馬車は単なる駅馬車ではなくなって鉄道の資金を運ぶ駅馬車になり、ピンカートンに雇われた男たちが乗り込んでガトリング砲で武装している。話はおおむね同じでも、死者の数がかなりすごいことになっているのである。駅馬車襲撃の場面だけで十人、そのあとベン・ウェイドがユマ行きの列車に乗り込むまでにさらに三十人くらいが死んでいる。そのうちの十人ほどがベン・ウェイドの子分と北米先住民なので、いちおうその分は除くとしても、それでも鉄道、司法、一般市民などで三十人ほどが死んでいる勘定になり、ここまで犠牲が出るような護送なら、ふつうはそもそもやらないであろう。そもそもの設定と状況が噛み合わないことになっているため、もともと混乱が見えるベン・ウェイドのキャラクターはさらに正体不明になり、それを演ずるラッセル・クロウはなぜだかぐるっとまわって混乱したグレン・フォードに見えてくる。なんだかよくわからないのである。クリスチャン・ベイルもそれなりに役作りをしているが、こちらはヴァン・ヘフリンに比べるとしゃべりすぎ。しかも肝心なところで話が素朴な自己達成から息子による父親の再確認に変えられているため、結末もそれにしたがって改変され(ついでに妻の地位も後退する)、それがどうにも後味が悪い。この後味の悪さも含め、もしかしたらきわめてマカロニウエスタン的な再映画化ではなかったか、などとも考えている。
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