スリザー
- Aloysius' Rating: 6/10
2006年 カナダ/アメリカ 96分
監督・脚本:ジェームズ・ガン
出演:ネイサン・フィリオン、エリザベス・バンク、マイケル・ルーカー、グレッグ・ヘンリー、ブレンダ・ジェームズ
鹿狩りのシーズンを間近に控えた山間の小さな町のはずれに隕石が落下し、その隕石を見つけた男が奇怪な生物を発見して近づいていくと、生物から針のようなものが飛び出して男はみぞおちを貫かれる。すると人格が一変して、つまり、それまでは粗暴な夫だったのが妻をいたわる夫になり、それでもエイリアンだからすることはするので家の地下に怪しい巣を作り上げ、近所の人妻をかどわかして怪しい状態に仕立て上げ、そうしたことが警察にばれると愛する妻に何か言い訳をしなければならない、と考えるものの、そのときにはすでに怪物化しているので警官に追われて森に逃げ込み、森から現われて牧場を襲い、警官隊に取り囲まれてまた森に逃げる。警官隊は森のなかの小屋へ踏み込み、そこで行方不明の人妻を発見するが、仕込が終わったあとなので、すぐに阿鼻叫喚の騒ぎになり、町の人間はことごとくがゾンビ状態になるものの、意識が怪物化した男と直結しているせいで、男の妻を見かけると、まず言い訳をしなければならないと考えるのである。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』
の脚本を担当したジェームズ・ガンの監督一作目。シチュエーションはフレッド・デッカーの
『クリープス』
に少し似ているが、書き込みの細かさで二歩ばかり上を行っている。舞台になるのはわびしい町で、ひともどこかわびしくて、だから目の前で宇宙からの侵略が進行していても、そして対立関係が人類対エイリアンとして規定されていても、その対立関係自体が過去を背負った男女の妙に後ろめたい三角関係に還元されていく。そしてゾンビが言い訳をするだけではなく、ゾンビに追われて逃げるほうも、家のトイレがすぐに詰まる理由についてなぜか言い訳を始めている。食事中のところをひとに見られたゾンビが「何見てるんだよ」と罵る映画はおそらくこれが初めてであろう(そこから先の台詞もすごいが)。ダイアログとキャラクターの造形がよく出来ている。怪物もあられもないほどの自己主張で登場し、これもけっこう気味が悪い。
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