ハンコック
- Aloysius' Rating: 　6/10
2008年　アメリカ　92分
監督：ピーター・バーグ
出演：ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、ジェイ・ヘッド、エディ・マーサン

空を飛び、怪力を持ち、しかも不死身のスーパーヒーロー、ハンコックは酒びたりの状態で事件に対処して周辺に甚大な被害を与えるために子供からも屑野郎と呼ばれていたが、たまたま命を救ったＰＲマン、レイ・エンブリーの勧めにしたがって態度を改めることを公約し、損害を償うために服役したところ、犯罪の多発に対処できなくなった警察署長に呼び出され、慎重に事件に対処してみると、レイ・エンブリーの予想どおりに賞賛を受ける。ところがこのＰＲマンの妻メアリー・エンブリーはハンコックを上回る力を持つスーパーヒロインで、しかもハンコックの元の妻で、かれこれ三千年にわたって関係を続けていたことが明らかになり、過去八十年分の記憶しかないハンコックが別れた理由を問い質すとひどく面倒くさい真相が明かされるが、三千年も時間があったのだったら対処方法をよく考えて、もうやめるとか、あらかじめ距離を置くとか、やりようがあったのではないだろうか。ウィル・スミスのキャラクターはよく生かされていると思う。たまに見える日常的な細部の描写にも面白さはあるが、主人公に悲壮な決意を求めようとしたせいで、全体としてのバランスが悪い。泥酔状態のヒーローか、愛を完遂できないヒーローか、さもなければ 『Mr.&Mrs.スミス』 の向こうをはって単なる夫婦喧嘩の話にするか、とにかく絞り込んだほうがよかったのではあるまいか。ピーター・バーグの演出はアクション場面ではきびきびしているものの、軽さを欠き、重苦しい。ところであのＰＲマンは不人気のヒーローを人気者に仕立て上げて、どこから利益を得るつもりだったのか。
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