Sweeney Todd

スウィーニー・トッド　悪魔の理髪師
- Aloysius' Rating: 　6/10

2006年　イギリス　92分　TV
監督：デイヴ・ムーア
出演：レイ・ウィンストン、エシー・デイヴィス、デヴィッド・ワーナー、デヴィッド・ブラッドリー、トム・ハーディ

一般的な設定から時代を半世紀ほどさかのぼって18世紀前半のロンドンが舞台になり、スウィーニー・トッドは床屋のほかに瀉血をし、外科医をこなし、堕胎もおこない、尿道結石の手術までする。レイ・ウィンストン扮するスウィーニー・トッドは黙々と仕事をこなし、まなざしのどこかに哀れみをたたえながらも地上を地獄であると考え、習性としての殺人に非情さと人間味のあいだで揺れ動く動機を与え、そうして揺れ動く動機付けに事情を受け入れたラヴェット夫人が身勝手な心情によって介入する。袋小路に行き当たった連続殺人者としてのスウィーニー・トッドと即物的なラヴェット夫人のひどく煮詰まった関係がよく出来ている。そして血にまみれたスウィーニー・トッドの店には判事在任中のヘンリー・フィールディングが常連として訪れ、ひげをあたってもらうあいだにロンドンの現状を嘆くのである。デヴィッド・ワーナー扮するフィールディングの冷笑的な雰囲気はなかなかに楽しい。BBC製作のテレビドラマで、予算はそれほどかかってはいないものの、ロンドンの冷たくて湿った雰囲気などはよく出ているし、ダイアログもよく練り込まれており、モダンに過ぎる解釈をやや盛り込みすぎた嫌いはあるが、見ごたえはあった。