プロポジション 血の誓約
- Aloysius' Rating:  6/10
2005年  オーストラリア・イギリス 104分
監督:ジョン・ヒルコート
出演:ガイ・ピアース、レイ・ウィンストン、エミリー・ワトソン、ジョン・ハート、ダニー・ヒューストン、ノア・テイラー


1880年代のオーストラリア奥地。現地の司法当局を指揮する英国軍のスタンリー大尉は銃撃戦の末にバーンズ兄弟の下の二人、チャーリーとマイキーを逮捕するが、スタンリー大尉はチャーリーに取引を持ちかけ、バーンズ兄弟の長兄アーサーを殺害すればチャーリーとマイキーに恩赦を与えると約束する。チャーリー・バーンズがガイ・ピアース、ガイ・ピアースが遭遇する賞金稼ぎがジョン・ハート、身分違いの妻をもらって居心地の悪い思いをしているスタンリー大尉がレイ・ウィンストン、身分違いの妻がエミリー・ワトソンである。オーストラリア奥地の「荒野」ぶりとそれを収めた撮影は見ごたえがあり、その荒野と町、さらにスタンリー大尉の自宅で進行する人間の荒廃ぶりにもそれなりの見ごたえがあり、作り手のこだわりがよく見えるが、後半に入るとアーサー・バーンズとその一味がチャールズ・マンソンとその一味とまったく同じ位置付けに現われ、にもかかわらず、いかなるアイロニーも嗅ぎ取れないことに少々困惑した。監督も脚本もオーストラリアの開拓史という枠組みのなかでのみ状況を捉えており、そこから出る必要を感じていない。もちろん、それはそれでまったくかまわないのだが、そうだとしてもヒッピーじみた自然との融合が手前勝手に語られる事実は変わりないわけで、そうするとこちらはこちらで手前勝手に反発してしまうので、つまり相性があまりよろしくない、ということになる。相性の問題は別としても、抑制の利いた演出はスタイルがあって悪くないし、出演者は味のある演技を見せており、ジョン・ハートの得体の知れない老人ぶりも楽しめる。

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