ライラの冒険 黄金の羅針盤
- Aloysius' Rating:  5/10
2007年 アメリカ・イギリス 112分
監督・脚本:クリス・ワイツ
出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、サム・エリオット、クリストファー・リー、イアン・マッケラン、キャシー・ベイツ


人間が動物の姿を借りたダイモンと1セットで暮らしている世界があり、その世界の北の果てでは異世界からダストが流れ込み、どうやらそのダストが自由思想を運んできているようなので、マジステリアムと呼ばれる教会めいた権力機関は自由思想の芽を摘み取るために子供たちを捕まえては北の実験施設に送り込み、子供からダイモンを切り離そうとたくらんでいる。その頃、オックスフォードの学寮で学ぶ少女ライラ・ベラクアは叔父のアスリエル卿がダストを調べるために北を目指すことを知り、叔父に同行を断られるとコールター夫人の助手に志願して叔父の後を追おうとするが、コールター夫人はライラが持つ真理計を狙い、夫人の真意に気づいたライラはロンドンの町へ逃げ出してジプシャンと呼ばれる集団に拾われ、ジプシャンの統領が率いる船に乗り込んで北を目指す。
原作は未読。ライラの冒険、単独行動するアスリエル卿、マジステリアムとコールター夫人の陰謀、よろいグマの王位争奪戦と軸数の多い内容を要領を得ないまま並べたプロットの荒野のような場所にニコール・キッドマンやダニエル・クレイグが放り込まれ、格別の魅力を発揮しないまま終わっている、という無残な作りは 『エラゴン』 によく似ている。絵はおおむねにおいて美しいし、主演のダコタ・ブルー・リチャーズはそれなりに頑張っていたし、サム・エリオットはさすがに目立っていたが、映画自体は凡庸で明瞭な文体を欠き、かなり退屈な仕上がりになっている。ファンタジー系特有の植民地主義的で単細胞な民族観は不愉快なだけだし、期待のクマどももくそまじめなだけで面白みがない。というわけで、オオカミのダイモンを連れたタタール族というのがいるならば、ダンゴムシのダイモンを連れた民族というのもどこかにいるのであろうか、などということを見ながら考えていた。

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