ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
- Aloysius' Rating:  4/10
2006年 アメリカ 84分
監督:ラリー・チャールズ
出演:サシャ・バロン・コーエン、ケン・ダヴィティアン、ルネル


カザフスタン国営テレビのリポーターが情報省の仕事でアメリカを訪れ、文化学習をするというドキュメンタリー調のお笑い番組。お笑いの質はかなり低い。カザフスタンというのもここではまったく架空の国で、登場する光景はルーマニアを中心とする東欧ばかり、しかもここでは略奪婚がおこなわれ、女にはリス程度の脳みそしかないとされ、ユダヤ人は変身して悪事を働き、住民は近代的なトイレの存在を知らずに暮らしている。そういうところからアメリカにやって来たリポーターがトイレの便器で顔を洗い、テレビで『ベイウォッチ』を見てパメラ・アンダーソンに欲情し、ユダヤ人の家にうっかり泊まって恐怖を抱き、自衛するためにクマを買い、マナー教室の実技ディナーに売春婦を呼び寄せ、全裸で不動産業者の集会に乱入し、ペンテコステ派の集会に紛れ込んで異言を強いられ、最後にカリフォルニアでパメラ・アンダーソンの略奪をたくらむ。文明批評的な場面がところどころに挟み込まれはするものの、格別の突っ込みがあるわけでもなく、話を下のほうへ寄せようとしたせいなのか、空想上の田舎者を笑い者にしているようにしか見えてこない。最初に提起される文化的なギャップがまったくしゃれになっていないし(ユダヤ人追い祭りはあまりのことに笑えたが)、そこへ上乗せされるアメリカ文化もうまく消化されていない。もう少し頭を使った文化的なねじれを見たいような気がしたが、もしかしたら求めるところをこちらが間違っているのかもしれない。

INDEX
IMDb IMDb で  を検索します。
* Search provided by The Internet Movie Database.