ロシアン・ブラザー
- Aloysius' Rating: 　6/10
1997年　 ロシア　95分
監督・脚本：アレクセイ・バラバーノフ
出演：セルゲイ・ボドロフJr.、ヴィクトル・スホルコフ、スヴェトラーナ・ビスミチェンコ、マリア・ジェコワ、ユーリー・クズネツォフ

兵役を終えて帰郷したダニーラ・バグロフはささいなことで暴力沙汰を起こし、母親の言いつけにしたがって兄のいるペテルブルクを訪れる。兄はいささかいかがわしい稼業に足を突っ込んでいて、現われた弟を自分が請け負っていた殺しの仕事の下請けに使い、ダニーラはその仕事を淡々とこなす。そしてロック・バンド「ノーチラス」（景気の悪い歌詞が微妙にすごい）のCDを買い集め、コンサートに出かけ、町で知り合ったドイツ系ホームレス、市電の女性運転手などとこれまた淡々と交流し、そうしていると犯罪組織のほうが勝手に盛り上がって追いかけてくるのでこれも淡々と撃退する。
主人公ダニーラはあくまでも自分のルールにしたがって行動し、自分が殺す相手にも自分を殺そうとしている相手にもほとんど関心を持つことがない（たぶん、名前も知らずに殺している）。奇妙なまでに徹底した自己完結ぶりのせいで超越的な存在のように見えてきて、その様子はときとして義賊のようでもあり義人のようでもある。なんだか神秘的な映画であった。ソ連崩壊から間もないペテルブルクの荒廃ぶりと、町を走る市電の車両バリエーション（貨物用とか）がなかなかにすごい。
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