マリー・アントワネット
- Aloysius' Rating: 5/10
2006年 日本・フランス・アメリカ 123分
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:キルステン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、ジュディ・デイヴィス、リップ・トーン、ローズ・バーン、アーシア・アルジェント
マリー・アントワネットがフランスに輿入れするところから革命後、一家でヴェルサイユを離れるまで。後半はかなりの駆け足になる。この時代背景をポップに扱うという目論見は面白いし、仮面舞踏会ではその目論見がうまい具合に結実して魅力的なシーンになっている。また美術、衣装、かつら、髪型なども非常によく作られており、これはけっこうな見ごたえがあった。ただ撮影はどちらかと言えばぞんざいで即興が目立ち、そうした即興性はプチトリアノンを舞台にした一連のシーンでは言わばファミリームービーのような機能を発揮してある種の空間を作ることに成功しているが、一方、宮廷に話が戻るとしばしば構図が放棄される。そこに詰まっているものはけっこう面白いのに、それをまとめた絵がいっこうに面白くないのである。格別の破綻は見えないものの、全体から言えばむらが多く、リズムに欠け、一貫した演出の存在が感じられない。そうすると
『ロスト・イン・トランスレーション』
と同じだということになり、それはそれで一貫しているということにもなるわけだが、見る側としてはこれは困る。キルステン・ダンストは決して悪いとはいえないものの、これはミスキャストであろう。王族には絶対に見えないし、農婦の扮装しているときがいちばん似合った。意地悪かもしれないが、つい
「ウェイトレスにおなり」
とでも言いたくなってくる。違う女優で違う監督だったら、仮に同じ脚本であったとしても、もっといい映画になっていたような気がしないでもない。
IMDb で
を検索します。
* Search provided by
The Internet Movie Database
.