007/ダイ・アナザー・デイ
- Aloysius' Rating: 6/10
2002年 イギリス・アメリカ 132分
監督:リー・タマホリ
出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーブンス、ジュディ・デンチ、ジョン・クリーズ
シリーズ第20作。北朝鮮のとある将軍が祖国の将来のために息子をオックスフォードだかどこかへ留学させたら、すっかり西欧の悪徳に染まって帰ってきて父親を悲しませる。で、その息子は大佐の制服を着て非武装地帯に私的な基地を構えて世界に聞こえるような悪さをしていると、そこへジェームズ・ボンドが殺しにやってくるのである。息子は滝に落とされて、ジェームズ・ボンドは北朝鮮の軍隊に捕まり、監獄にぶちこまれて女性の拷問係に拷問される。そしてそれから14ヶ月後、捕虜の交換で釈放されて西側に戻り、自分を陥れた裏切り者がいたことを知る。ジェームズ・ボンドは裏切り者の正体を明かすために監禁から脱してキューバへ飛び、手がかりをたどってロンドンへ飛び、挑戦を受けてアイスランドへと飛んでいく。飛んでいる合間には、劇中の台詞を借りれば朝食代わりにセックスをして、夕食の代わりに殺しをして、アイスランドでも大激戦を繰り広げ、最後には再び朝鮮半島へ飛んで決着をつける。徳の低い息子が父親を激しく悲しませるというあたりがちょっと儒教的な内容になっていて、これは舞台を意識した結果かもしれないが、どうしても北朝鮮でなければならない、という話ではなくて、現実の非武装地帯の向こう側にあったのがたまたま北朝鮮であった、という程度の必然性しか存在しない。
人物やアクション、状況が全体にバランスよく配置されていて、よく考慮された映画だとう思う。アクション映画を作ろう、という意気込みが感じられる点でも好感が持てた。とりわけ冒頭の侵入の場面や、それに続くホバークラフトの場面は実に凝っていた。しかし何よりも肝心なことは、あらゆるアクションをこなし、あらゆる女性を押し倒しながらもジェームズ・ボンドがもはやファロスの帝王ではない、という事実であろう。ピアース・ブロスナン扮する007はトラブルメーカーとしての位置付けを与えられており、考えなしに行動しては、くだらない駄洒落で敵を挑発する男として説明されてしまう。存在理由は女性を助けるというその一点に集約されていて、だからハル・ベリー扮するジンクスは助けられてもそれほど感謝していない。ジンクスが主役同然にかっこいい一方で、ジェームズ・ボンドが単なる居直り親父のように振舞っているのは、察するにそういう理由によるものであろう。もちろんそれはそれで悪いことは何もないので、今後も頑張ってもらいたい。
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