007/ワールド・イズ・ノット・イナフ
- Aloysius' Rating:  7/10
1999年 イギリス・アメリカ 128分
監督:マイケル・アプテッド
出演:ピアース・ブロスナン、ソフィー・マルソー、ロバート・カーライル、デニス・リチャーズ、ジュディ・デンチ、デズモンド・リュウェリン、ジョン・クリーズ


シリーズ第19作。まず初めにデスモンド・リュウェリンの冥福を祈りたい。享年85歳、「ロシアより愛をこめて」以来、Qを演じて007に各種珍装備を支給してきた俳優である。劇中での引退宣言は感慨なしには思い起こすことができない。Qの任務はあのジョン・クリース(モンティパイソン)扮するRが引き継いだ。
さて、映画の方は意外なほど見応えがあった。監督が最近のこのシリーズとしては珍しくベテランのマイケル・アプテッド( 「ネル」 )だったから、ということもあるのかもしれないが、全体に重量感があり、展開も登場人物の動き方も自然に見えた(昨今のアクション映画ではそれだけでもたいしたものなのである)。今回の悪役はロバート・カーライルだと聞いていたのでどんな悪役をするのかと期待していたが、恐ろしいことにいつもと同じなのであった。つまりロンドンの下町にいても決して不思議はないような、心に不安を抱えたかわいそうな悪党だったのである。抜群にうまい役者だと思うけれど、こうしたイメージがやはり先行しているのだろうか。もちろんロバート・カーライルの役は本人の勝手な役作りでそうなっているわけではなく、必然性を持ってそうなのであって、これは見事に成功している。対するピアース・ブロスナンの007もかなりいい。特に今回は暴力沙汰が比較的押さえ気味で、対人関係でも弱さを見せているところがよろしかった。驚きだったのはソフィー・マルソーの大物ぶりで、最初の登場シーンからすでにかっこいい。しかもその役柄は007映画の中でも前例がない種類のもので、予感はしていたが実際にやられてしまうとそれなりに衝撃がある。女性核物理学者を演じていたデニス・リチャーズも悪くなかった。 「スターシップ・トゥルーパーズ」 では目玉と唇ばかりが目立っていたが、今度はちゃんと人間に見えた。

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