鉄人28号
- Aloysius' Rating: 3/10
2004年 日本 114分
監督:冨樫森
出演:池松壮亮、薬師丸ひろ子、蒼井優、香川照之、中澤裕子、高岡蒼佑、阿部寛、柄本明、伊武雅刀、中村嘉葎雄
東京に巨大ロボット「ブラックオックス」が出現し、金田正太郎少年が操縦する鉄人28号がそれと戦う、までの話がむやみと長い。正太郎少年は母一人子一人の母子家庭で、転校してきたばかりでいじめにあっていて、しかも亡き父からは嫌われていたと心のどこかで感じていて、加えて姿勢が悪くて、歩き方にも問題があり、間抜けな脚本のせいなのか間抜けな演出のせいなのかは知らないが、知性を備えた生き物のように行動する能力を欠いており、いまどきの子供らしくもなくゲームをしたこともないようで、だから大事なリモコンを預けられてもまともに操作することができないばかりか、ほとんど常に逃げ腰で、つまり悪と戦う正義の心を備えていない。もちろんピストルだって持っていないし、あの「格好」で登場すると、今度は上着のサイズがあっていない。作り手の意図はこのどうしようもなく意気地無しの正太郎少年の心の成長を描くことにあったようだが、本来、正太郎少年とはかたくななまでの正義の心の持ち主であり、頭脳明晰を誇って大人に平然とタメ口をきくクソ生意気な小僧であり、その点ではすっかり完成せされているので、成長など最初から必要としていないのである。
オープニングであの主題歌のインストルメンタルが流れると勝手に期待感が高まるものの、そのあとのプロットはくじけっぱなし、ブラックオックスにしても鉄人にしても信じられないほど質感に乏しいCGで、しかもその戦いというのが最後まで小突きあいの域を出ることがない。正太郎少年がだめなら悪役もやっていることがほとんど意味不明、大塚署長は課長に格下げされ、それを演ずる柄本明はただのアホウにしか見えないし、敷島博士は登場すらしない。善し悪しはともあれ、いちおう映画としての体裁を備えている分、
『デビルマン』
よりは百倍ましだが、根本的に想像力を欠いているという点では同じだし、あれと同様、素材に対する愛も関心も感じられない。やっぱりここは覆面をかぶったなんとか団が怪ロボットをしたがえて登場して、阿部寛にはぜひとも敷島博士の役で登場してもらって、白衣の姿で誘拐されてほしかったし、ロボット同士の戦いでは鉄板がたわんでネジが飛んで、真空管にばらばらと降ってきてほしかったと思うのである。マンガの実写映画化はけっこうだが、その方法については
『スパイダーマン』
でも見てちょっと研究してほしい。
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