七つの大罪
- Aloysius' Rating:  6/10
1952年 フランス 138分
監督:エドゥアルド・デ・フィリッポほか
出演:ジェラール・フィリップ、ミシェル・モルガン、ジャクリーヌ・プレシス、パオロ・ストッパ、オルフェ・タンブリ


『貪欲と憤怒』(監督:エドゥアルド・デ・フィリッポ)
イタリア某所のアパートで心の貧しい大家が懐の貧しいフルート奏者に立ち退きを迫り、大家の妻はパーマをかける金がもらえないということで夫の吝嗇ぶりに激怒する。
『怠惰』(監督:ジャン・ドレヴィル)
人間世界の慌ただしさに神が怒り、神の怒りを受けて聖ペテロは封印されていた悪徳「怠惰」を解放し、これを美徳として地上に派遣した結果、世界はとても怠惰になる。
『淫欲』(監督:イヴ・アレグレ)
13歳の娘が自分は妊娠していると神父に告白し、神父はそのことを母親に告げ、娘の口から父親が明かされ、父親であると名指された男は狼狽する。
『嫉妬』(監督:ロベルト・ロッセリーニ)
画家の夫とともに暮らす専業主婦の妻は夫がネコを猫かわいがりするのが気に入らない。
『美食』(監督:カルロ・リム)
野原で立ち往生した医師は近くの農家に一夜の宿を求めるが、その農家で夕食に出されたチーズの味が忘れられず、やがて誘惑に屈して床から忍び出る。
『高慢』(監督:クロード・オータン=ララ)
母と娘は没落して一間暮らしを強いられ、電気代も払えずにいたが、娘はプライドの問題から知人のパーティーに出かけていく。
『第八の大罪』(監督:ジョルジュ・ラコンブ)
教会が存在に気づかなかった第八の大罪があきらかにされる。
という七つの短編から構成されていて、ジェラール・フィリップが狂言回しとして登場する。『貪欲と憤怒』はちょっと渋めだが手慣れた話術がよくできている。『怠惰』はちょっとほのぼのとした寓話劇、『淫欲』はなかなかにひねりが利いており、『嫉妬』は妻の嫉妬心がどうこう、というより、その嫉妬心をなじる夫のエゴイズムのほうが気になった。あれでは奥さんがかわいそう。『美食』に登場するチーズは本当にすごい。農家の夫婦の異様なサスペンスもうまく演出されていて、七編中ではいちばん面白かった。『高慢』は直球勝負の内容だが、こなれたダイアログとミシェル・モルガンの陰気な美貌が目を惹いた。で、最後の『第八の大罪』はこれが冗談抜きに恐ろしくて、結末が明かされるまで実は目を背けていたような次第である。

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