パリ空港の人々
- Aloysius' Rating:  6/10
1993年 フランス 91分
監督:フィリップ・リオレ
出演:ジャン・ロシュフォール、ティッキー・オルガド、マリサ・パレデス、ラウラ・デル・ソル、イスマイラ・メイテ、ソティギ・クヤテ、ジャン=ルイ・リシャール


フランス国籍を持つアルチュロ・コンティ氏はカナダを発ってフランスに到着するが、カナダ側の空港の出発ロビーで身分を証明する一切合切を盗まれていたため、フランスへの入国を拒まれる。身元を照会するあいだ、到着ロビーで待つように指示されたコンティ氏は一夜を明かすためにロビーの長椅子に横たわるが、そこへ一人の少年が現われ、その少年を追ううちにとある扉の奥へ足を踏み入れることになる。
ド・ゴール空港のひどく手狭な一角に国籍喪失者、国籍不明者、逃亡者などが住み着いていて、なんとなく共同生活を送っているという話である。官憲のいかにもフランス的な無情ぶり、得体のしれない言語ギャップなどが面白く、その一方、空港という砂漠のような場所に閉じ込められて立ち往生している人々の姿が憐れみを誘う。演出は淡々としていて何か格別の盛り上がるがあるわけではないものの、それだけにわびしさが募るのである。描写がひどく所帯じみているせいかもしれないし、ド・ゴール空港という墓地のような場所を背景にしているせいかもしれない。ジャン・ロシュフォールは風格があり、ギニア人の少年との交流、正体不明の黒人との不可思議なやりとり、テーブルの上に手早く物を配置してパリの風景を描き出す場面などは見ごたえがあった。

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