スイングガールズ
- Aloysius' Rating:  4/10
2004年 日本 105分
監督・脚本:矢口史靖
出演:上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ、豊島由佳梨、平岡祐太、あすか、中村知世、根本直枝、根本直枝、松田まどか、水田芙美子、関根香菜、辰巳奈都子、中沢なつき、前原絵理、長嶋美紗、あべなぎさ、金崎睦美


吹奏楽部の全員が食中毒で倒れ、野球部の応援をするために急遽動員された女子高生たちは人数の不足を解決するために吹奏楽団ではなくてジャズのビッグバンドを組むことになる。
『ウォーターボーイズ』 と同様、腰が引けたプロットが前面に出て技術的な問題についての説明がまったくなされていない。夏休みにはじめて楽器に触った少女たちが冬にはスイングしているということになると、そのあいだにそれはもうたいへんなことが起こったわけで、ほかの何かが起こったとはとうてい思えないわけだけど、面白いことにこの映画ではもっぱらほかの何が起こっているのである。アイデアはあっても題材への執着がないのであろう。あるいはスポコンになるのをことさらに避けたためなのかもしれないが、『スイングガールズ』というタイトルのへたくそなコメディを作るのに夢中になって、『スイングガールズ』という題名どおりの映画を作ることを考えていない。言われているように出演者たちがあのかなり立派な演奏(見事にスイングしていた)を吹き替えなしでこなしたとすれば、なおのこと素材をもっと大切に扱うべきであった。そもそも補習をさぼるためであったとか、野球部の応援であるとか、デモテープを送っていないとか、そうしたエピソードはすべて邪魔。実際、エピソードや登場人物はただ散らされているだけでひとつとしてまともには機能していない。竹中直人も位置づけが不明で邪魔なだけ。質屋の店先でテナーサックスが輝いているところから話を始めて、上映時間を三十分短くして、もっと話をシンプルにして、どうせならもっと谷啓を出すべきであった。いや、そもそも舞台は話のモデルになった兵庫県立高砂高校でよかったはずだし、それならば実際にあったとおりに部員減少で廃部の危機にさらされた吹奏楽部が苦心の末にビッグバンドに衣替え、という話のほうがよほどに面白かったのではないか、という気がするのである。

IMDb IMDb で  を検索します。
* Search provided by The Internet Movie Database.