赤いテント
- Aloysius' Rating: 7/10
1970年 イタリア・ソ連 150分
監督:ミハイル・カラトーゾフ
出演:ピーター・フィンチ、クラウディア・カルディナーレ、ハーディ・クリューガー、ショーン・コネリー、マッシモ・ジロッティ、ドナータス・バニオニス、ニキータ・ミハルコフ
1928年の四月。ノビレ将軍が率いるイタリアの北極探検隊は飛行船イタリア号で極点に到達するが、シュピッツベルゲンへの帰路、イタリア号は氷上に不時着、気嚢から脱落したゴンドラとともにノビレを含む九人が投げ出される。間もなく国際的な救助活動が開始されるが悪天候のために難航し、救出に飛び立ったアムンゼンもまた消息を絶つ。遭難から四週間後、スウェーデンの飛行士リンドボルグが遭難地点に到達するが、ノビレは最初に救助されたことによって指揮官としての責任を放棄したと判断され、国際的な非難を浴びる、という一連のイタリア号事件を再現した大作。
視点は現代(1969年)に置かれ、存命中のノビレ将軍が不眠に悩まされていると、そこへ事件に関わった故人が現われて証言をし、ノビレの罪を問いかける、という仕組みになっていて、その手法が刺激的で面白い。そして回想のなかで悲劇の飛行船イタリア号が飛び、氷原を割って砕氷船クラーシン号の勇姿が進み、遭難の経過と二次遭難の状況が丹念に描写される。救出されなかった人々の誰にもわからない末路までが描かれることに多少フィクションの傲慢さを感じるが、ミハイル・カラトーゾフの演出は慎重で抑制があり、不快感を与えることをまぬかれている(とはいえ、気象学者マルムグレンとヴァレリアの恋はやはりやり過ぎであろうと思うのである。ただ、マルムグレンの運命はなんとなくロマンを引っ張り出す傾向があるようで、星野之宣も『妖女伝説』に登場させている)。ピーター・フィンチはノビレにリアリティを与え、ショーン・コネリーはアムンゼンに快い品格を与えている。手間のかかった立派な作品である。なお、クラーシン号搭載の飛行機のパイロットとしてニキータ・ミハルコフが出演している。
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