パパは出張中
- Aloysius' Rating: 6/10
1985年 ユーゴスラビア 136分
監督:エミール・クストリッツァ
出演:モノレ・デバルトリ、ミキ・マノイロヴィチ、ミリャナ・カラノヴィチ、ムスタファ・ナダレヴィチ
1950年のサラエボ。新聞に掲載されていた一コママンガ(マルクスの書斎にスターリンの肖像が飾ってある)を見たメーシャが、これはちょっとやりすぎではないかと口にする。その一言は不倫相手の体育教師を通じて国家警察に伝わり、その係官を勤めるメーシャの義兄はメーシャを呼んで逃げられないと宣告する。ということでメーシャはぶち込まれ、メーシャの息子の幼いマリクはパパは出張中であると説明される。
映画は六歳児マリクを語り手に一家の生活を淡々と描き、その背景や前景では大人たちが格別の発展も見せずにしなければいいようなことをやり続ける。子供たちはサッカーに夢中で、男どももサッカーに夢中なので、結婚式の最中でも誰かがラジオのサッカー中継をつけたりすると、花嫁一人を残してみんなそちらへ消えるのである。懸命に生きている割には煩悩にしばしば邪魔をされて、そのせいで誰もがそれほど誠実に見えない、というあたりがいかにもクストリッツァなのであった。生きることの不器用さがひどく滑稽で痛々しいが、かりそめの和解の余地が残されている分、
『アンダーグラウンド』
よりも少し明るい。後の作品の原風景を思わせるような光景が登場し、すでに才気を感じさせる。
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