レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
- Aloysius' Rating: 　6/10
2004年　アメリカ　109分
監督：ブラッド・シルバーリング
出演：ジム・キャリー、メリル・ストリープ、エミリー・ブラウニング、リーアム・エイケン、カーラ・ホフマン、シェルビー・ホフマン、ダスティ・ホフマン、ジュード・ロウ

　十四を頭とする姉弟妹は両親の死で孤児となるが、莫大な財産が銀行で運用されている。オラフ伯爵を名乗る怪しい俳優が子供たちの財産を狙って暗躍し、賢い子供たちはその事実にすぐに気がつくが、まわりにいるのは間抜けな大人ばかりで助けてくれないのである。
不幸な、というほど不幸に見えないのがやはり最大の難点であろう。別に 『居酒屋』 を期待していたわけではないけれど、内容的に物足りないのは否めない。とはいえ、オープニングのアニメーションがまずよくできているし、撮影も劇中の美術もきわめて美しい。とにかく手間のかかった映像は見ごたえがある。ただ、脚本の内容不足ともかかわるところかもしれないが、演出は全体に平板でリズムを欠き、盛り上がりそうなところで盛り上がらない。ジム・キャリーは扮装を取っ換え引っ換えして現われて悪役を怪演しており、それはそれとして見るべきところがあるものの、悪役としてはいま一つ印象が弱い。一瞬だけ顔を出すダスティン・ホフマンのほうが勝手に存在感を発揮していたような気がする。全体として監督の演出力の不足が感じられた。銀行家のポー氏が走らせているタトラ（TATRA T603?）が珍しい。
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