ザ・インタープリター
- Aloysius' Rating:  6/10
2005年 アメリカ 118分
監督:シドニー・ポラック
出演:ニコール・キッドマン、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー、イェスパー・クリステンセン、イヴァン・アタル、アール・キャメロン、ジョージ・ハリス


国連職員で通訳のシルヴィア・ブルームが通訳室に戻ると、眼下に見える無人の会議場では怪しい会話が交わされていた。続く経過からその会話の内容がアフリカにあるマトボ共和国の大統領を暗殺する計画であることを知り、シルヴィア・ブルームの報告を受けて事務局が動き、シークレット・サービスが捜査に乗り出す。間もなくシルヴィア・ブルームの周囲で怪しい動きがあり、シルヴィア・ブルームは悲劇的な過去を執拗に隠し、シークレット・サービスのトビン・ケラーは妻を失った悲しみに浸っているのである。
シドニー・ポラックだから、ということになるのかもしれないが、メロドラマなのである。ニコール・キッドマン、ショーン・ペンは熱演していたが、隠蔽された過去のせいで展開はひどくもたもたしている。捜査劇にあたる部分は全体に要領が悪く、関係者の顔がきちんと見えてこないし、動機づけも主要登場人物の行動も曖昧、というか散漫で、今ひとつ説得力が感じられない。最大の問題は暗殺の標的になるマトボ共和国の大統領で、その悪政ぶりが劇中で糾弾されるものの、悪政にいたるまでの変節の理由がまったく明示されない。ただの悪党ならばただの悪党で済むものを、ここでも余計な背景を盛り込んだせいで人物がねじれてしまっている。家族を失った悲しみの話なのか、家族を殺されて復讐する話なのか、アフリカでは無条件でこうなるという思い込みについての話なのか(そう思い込んでもも仕方ないとしても)、あるいはただ単に欲張りすぎたせいなのか、まとまりが悪い。それでも見ていられたのは構造的にはさしあたりの破綻がないのと画面作りが手堅いのと、ニコール・キッドマンが美しかったからである。ただシドニー・ポラックは自分で顔を出すのはやめたほうがよいと思う。

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