トロイアの女
- Aloysius' Rating: 8/10
1971年 ギリシア・イギリス・アメリカ 111分
監督・脚本:マイケル・カコヤニス
出演:キャサリン・ヘプバーン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、イレーネ・パパス、ブライアン・ブレッスド、パトリック・マギー


エウリピデスの『トロイアの女たち』に基づく。トロイア陥落の後、廃虚のはずれでヘカベが立ち上がり、そこへ現われた伝令がカッサンドラを連れ去り、悲報を携えて現われたアンドロマケは息子を奪われて放心し、ヘレネはメネラオスの前で居直り、ヘカベに追い詰められて命を請い、ヘカベはアンドロマケの子を埋葬し、やがてトロイアに火が放たれる。
きわめてよくできた「劇場中継」である。マイケル・カコヤニスの演出はテンションが高く、だれ場を作らずに一気に見せる。撮影はロケ効果をよく考慮し、多くの場合ダイナミックで見ごたえがあるが、いくつかのカメラワーク、短いショットに声を重ねたコロスの処理などはあまりにも60年代じみていていささか野暮ったい。それでも瞬時も目をそらすことができないのは、やはり、もともとの芝居がすごいのだと思う。女優もすごい。キャサリン・ヘップバーンのヘカベは迫力があった。カッサンドラがジュヌヴィエーヴ・ビジョルド。実に美しい。熱演には思わず見とれてしまった。アンドロマケのヴァネッサ・レッドグレーヴはこれに比べるとやや負けている。イレーネ・パパスのヘレネは凄まじい説得力である。居直るし命請いをするし、自分が悪いなどとはちっとも考えていないし、なんだか猛烈に美しいし、いや、これでは国も滅びるであろう。

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