スチームボーイ
- Aloysius' Rating:  5/10
2004年 日本 126分
監督:大友克洋
出演:鈴木 杏、小西真奈美、中村嘉葎雄、津嘉山正種、児玉 清、沢村一樹、斉藤 暁、寺島 進


1866年のマンチェスター。紡績工場で働くレイの元に発明家をしている祖父ロイドからスチームボールが送り届けられる。すると無限の圧力を誇るこのボールをオハラ財団が狙って現われるのでレイは自分の発明に乗って脱出し、英国が誇る科学者ロバート・スティーヴンスンの一行によって一度は救われるものの、間もなくオハラ財団によって捕らわれの身となり、そこで発明家をしている父エドワードと再会する。父エドワードは魂を悪魔に売っており、その点で祖父ロイドと鋭く対立していることが判明し、レイはスチームボールを奪い返してオハラ財団のスチーム城から脱出するが、オハラ財団は新兵器のデモンストレーションを万博会場を舞台に開始していてロンドンの町は事実上の戦闘状態に巻き込まれていく。
一枚一枚の絵はそれなりに見栄えがするものの、それが動くとどうにも魅力をとどめられないというのがこの映画の欠点である。冒頭の爆発シーンにしても、それ以降のアクションシーンにしても、どこかで明らかに数カットが不足していて、迫力を生み出せずに終わっている。登場人物の動作の重さはリアリティを求めた結果かもしれないが、ライブアクションとの対比を強要することになり、かえって情報量の不足をもたらした。プロットの無用の複雑さも問題であろう。父子の対立関係は作品に生硬さだけを与えているし、余計なメッセージは作品に陰気な印象を与えている。そしていずれにしても仕掛けを大きくしすぎているし、無用にひとが死にすぎる。着想の起点に何があったのかは知らないが、整理の悪さと抑制の乏しさを感じさせた。

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