ビッグ・フィッシュ
- Aloysius' Rating: 8/10
2003年 アメリカ 125分
監督:ティム・バートン
出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター、スティーブ・ブシェミ、ダニー・デビート
UPI通信の記者ウィル・ブルームの父親エド・ブルームは何かと言えばほらを吹く。ウィル・ブルームの結婚式でも事実と違う話を始めたので、すっかり嫌気が差した息子は父親との対話を拒否してそのまま三年が経過する。ウィル・ブルームはパリで暮らし、妻は妊娠七か月を迎え、そこへ母親から連絡があり、父親の病状が思わしくないという。そこでウィル・ブルームは妻とともに実家のアラバマへ戻り、息子は久々に父と対面して言葉を交わし、当然ながら再び父のほらと出会い、それでまた嫌気がよみがえるものの、向き合ううちにほらの背後にひそむ多くの真実と遭遇する。
父親がアルバート・フィニー、その父親の話のなかで登場する若き日のエド・ブルームがユアン・マクレガーである。冒頭、まず登場する巨大なナマズに目を奪われる。劇中、父親は気の向くままに話を続け、そこには隻眼の魔女、巨人、世にも明るい幻の町、いかがわしい詩人、サーカスのいかがわしい興行主、シャム双生児の歌手などが登場する。いずれのエピソードも空想的でおおらかで、前向きで明るい。そして話の性格は父親の生き様にそのまま転写され、数々のあほらしいほら話は映画の最後になってほらでもなく誇張でもなく、ただよく生きたことの証となって立ち現れる。ユアン・マクレガーは若き日の父親のくじけることを知らない姿を好演し、アルバート・フィニーはその後の、年を経てふてぶてしさを身につけた姿を巧みに演じている。妻を演じたジェシカ・ラングの情愛に満ちた表情はすばらしいし、いかがわしい詩人の役で登場したスティーブ・ブシェミ、いかがわしい興行主の役で登場したダニー・デビートものびのびと楽しそうに演技している。語りはよく吟味され、場面転換は心地よく、異様さもおかしみもほどよく折り込まれ、丁寧に仕上げられたすばらしい作品である。
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