つばさ
- Aloysius' Rating: 7/10
1927年 アメリカ 140分
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
出演:チャールズ・“バディ”・ロジャース、リチャード・アーレン、クララ・ボウ、ゲイリー・クーパー
1917年のアメリカ。田舎町に住むメアリーは飛行機に憧れるジャックに恋をしていたが、そのジャックは金持ちの娘シルヴィアに恋をしており、そのシルヴィアは金持ちの息子デイヴィッドに恋をしている。やがてアメリカは第一次世界大戦に参戦し、ジャックとデイヴィッドは航空隊を志願して戦闘機乗りとなり、西部戦線でドイツ軍との戦いに投入される。戦場では戦いによって命が空しく奪われ、空からはドイツ軍の爆撃機が攻撃を加え、その爆撃機を撃退したことでジャックとデイヴィッドは勲章を受け、だが連日の戦闘は神経を苛み、休暇で訪れたパリではジャックはひたすらに飲んだくれる。そのジャックを介抱するのは婦人部隊の一員として同じくパリにあったメアリーであったが、その頃、連合軍は総攻撃の準備にかかり、ジャックとデイヴィッドもまた休暇の途中で呼び戻され、戦車を交えた地上部隊の進撃が始まり、航空部隊もまた空から戦闘に加わっていく。
1927年製作のサイレントの大作戦争映画である。映像は雄弁で、監督が従軍経験者だから、ということなのか、戦闘シーンは独特の迫力がある。空戦シーンなどはロングの空撮が多く、そうした意味では現代的な文法とは異なっているが、雲海を背にした戦闘はなかなかにリアルで見ごたえがあった。地上戦の場面もバリエーションが豊かで、大地をめぐる長大な塹壕、爆薬筒による鉄条網爆破、歩兵や戦車の進撃、野砲、機銃掃射、装甲トーチカへの蹂躙攻撃、算を乱して潰走するドイツ軍など見ていて飽きることがない。話は従軍から復員までで、その過程をよどみなくつなげて並ぶべき場面を惜しみなく並べ、登場人物にはそれなりの人間味を与え、戦争批判も忘れずに折り込んで手際がよい。通俗ドラマとしてよく仕上がっているのである。ゲーリー・クーパーが航空兵の役で1シーンだけ出演していて、ハーシーのアーモンドチョコをかじるだけなんだけど、そのときの立ち姿がかっこいい。
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